サウジアラビアは引き続き原油輸出を削減しており原油価格の上昇を招いている。また、米国のベネズエラ産原油への制裁や、FRB利上げ停止も原油価格の上昇にポジティブな影響を与えている。
しかし、原油は55ドルを堺に上昇していくだろうか?明確に答えられるものはいないだろう。
金価格は先週FOMCの影響もあり、1300ドル台に上昇している。
これからの1週間、FRBの発言には市場の注目が集まるだろう。6日に米ワシントンでパウエルFRB議長が教育者とのタウンホールミーティングがあり、これには特に注目が集まる。
米WTI原油先物価格が2月1日に10週間ぶりの最高値となった。それに加え、ベーカー・ヒューズが発表している米石油掘削装置(リグ)稼働数が15基減少し、9ヶ月間での最低値847になったことでさらに原油価格の上昇要因となった。
だが、米石油掘削装置(リグ)稼働数も最近は不安定であり、2週間で10増加し、21減少している。9ヵ月間での最低値になるかもしれないが、765しかなかった1年前に比べると未だに高い。
米石油掘削装置(リグ)稼働数上昇の可能性
もしWTI原油先物価格が2月に55ドルを超えると、石油掘削装置(リグ)稼働数は増加する可能性がある。先週のブルームバーグによると、パイプライン・オペレーターのエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズは米テキサス州のパーミアン盆地における運送障害は予定よりも何か月か早く軽減される可能性があるとしている。
バンク・オブ・アメリカは、これから5年間に渡るシェールオイル以外(北海からガイアナへの原油)に関わるプロジェクトは、原油が40ドルになれば利益を上げられるだろうと予測している。
昨年原油価格が40ドル台にまで下落していた時、新しい油井に割く費用を減らそうという計画があった。ロイター通信は、先週の米石油掘削装置(リグ)稼働数の下落は一部の石油採掘業者がその計画を続けていたためであったと推測している。
だが、それ以降の原油価格上昇、最新の決算報告、パーミアン盆地にある米エネルギー系大企業の収益を見ると、違った見解が見えてくるかもしれない。
価格によって採掘が決まる:エクソンモービル、シェブロン
1月31日の決算報告においてコノコフィリップス (NYSE:COP)のRyan Lance会長兼CEO(最高経営責任者)は、投資家に対して30%のキャッシュバックをすることに尽力していると話した。また同氏は、石油採掘については「価格によって採掘が決まるだろう」と述べている。
世界最大の原油生産企業であるエクソンモービル(NYSE:XOM)とシェブロン (NYSE:CVX)で同様のことが言える。両社はパーミアン盆地における第一次シェールオイルブームを逃したこともあり、2018年第4四半期に合計日量67万7000バレルもの原油とガスを採掘した。これはパーミアン盆地における生産量合計の約5分の1にあたる。
2月1日、両社とも2桁の生産量増加を見せ、四半期決算は改善した。特にシェブロンは、高い配当性向のまま生産量を増やしていた。
米原油生産量は再び上昇していく可能性
米国エネルギー情報局(EIA)が先週公表したデータによると、予想よりも2ヶ月早く米原油生産量は日量1200万バレルという最高水準に達したという。EIAは2020年米原油生産量は日量1300万バレルになると予想しているが、2月分のデータを公表する時には2019年の最高値が更新されているだろう。
だが今のところは、原油の勢いは続いており、米石油掘削装置(リグ)稼働数の急増が起こらなければ米原油の先月の上昇率は18.5%を超える可能性もあるだろう。もし米中が貿易戦争が合意位に至れば、さらなる上昇が見込める。アジア市場の原油取引が4日に始まり、WTI原油先物価格はすでに年初来で21%上昇した。
金価格はFRBの発言やISMのデータに左右される
金投資家にとって、パウエルFRB議長が教育者とのタウンホールミーティングを開くことは金価格を動かす要因の一つであり。他に重要なのはリチャード・クラリダFRB副議長、ロレッタ・J・メスタークリーブランド連邦準備銀行総裁、ジェームズ・ブラードセントルイス連邦準備銀行総裁、ランダル・クォールズFRB理事の講演であり、金価格が1300ドル台まで上昇するのかどうかを示すサインとなる可能性がある。
ドナルド・トランプ米大統領が貿易戦争解決のため、習近平中国国家主席と会談を計画しているという報道を受けて、17ヶ月間で最長だった金価格の5日間の続騰は2月1日に終わった。中国経済のさらなる低迷や、または米中貿易協議は合意に至らないという懸念から、投資家は金を買っている。
貴金属投資家は5日にISMによって公表される1月のサービス業PMIに注目を集めるだろう。サービス業PMIは先月の57.6から57.0へと下落すると予測されている。