2019年2月11日の外国為替市場
米ドルの勢いが止まらない。ユーロ、円、スイス・フランが今年の最低水準に下落し、ドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は現在110を上回って推移しており、ユーロ/ドルは1.13を大幅に下回っている。これらの大事な水準はここ数週間の値動きを制限してきたが、11日にブレイクしユーロと円は更に下落することとなった。米経済指標の公表がなかったこと、株式の下落が比較的抑えられたこと、世界的に国債利回りが上昇したことから、11日の変動に特定の大きな要因はなかったことが分かる。唯一説明のつく要因と言えば、中国市場が再開したためアジア市場で流動性が回復したことである。明らかではないが、これからの数週間、不安材料は多くある。米中貿易協議が続き、テリーザ・メイ英首相はブレグジット(英EU離脱)交渉における進展について最新報告し、また今週末にも米政府予算は底を突き、ニュージーランド準備銀行は13日(ニュージーランド時間)に政策会議を行い、米商務省は自動車関税を課すかどうかを発表する。どれも通貨を大幅に下落させる可能性があるが、予想外のことが起きて上手く解決されれば大幅なショートスクイズが起こる可能性もある。
特にドル/円は、111.25と111.70の間で動くだろう。米政府のワシントンでの交渉に注目が集まっている。それに加え、消費者物価指数(CPI)、小売売上高、ニューヨーク州とミシガン大学の消費者信頼感指数が発表される。これらが予想を下回れば、ドルは下落するだろう。
ユーロでは売りが広がっており、ユーロ/ドルは最近の8取引日の内7日間下落した。11日に発表されたユーロ圏の経済指標はなかったが、最近の低調な経済指標の通貨への影響が表面化している。独利回りは先週0.1%以下へと下落した後回復を見せたが、ユーロが下落しているため依然として低いままである。ユーロ/ドルは11月の最低値、1.1215をまもなく下回るであろう。しばらくの間は、米国がユーロ圏からの自動車に対する関税を取り下げない限り、ユーロ/ドルのレジスタンスラインは低くなるであろう。1.10まで下落する可能性も高い。一方、低い流動性により、アジア市場の取引開始時にスイス・フランは瞬間的に暴落した。スイス・フランは回復した一方、ドル/スイス・フランはNY時間に上昇が止まった。他の国と同じように、スイスにおけるインフレ圧力は弱まっている。
英経済は低迷を見せており、ポンドに下方圧力をかけている。11日、経済成長率(GDP成長率)が予想を下回り、貿易赤字は期待されていたほど減少せず、工業生産高は3ヶ月連続で下落した。メイ英首相はEU離脱(ブレグジット)交渉の進展具合を議会で12日に発表する。14日に離脱に関する審議が行われるが、それによって国会議員はブレグジットの内容について意見を提示、反映させることができるだろう。採決は行われないが、もしメイ首相が進展を見せず、議会がブレグジットを回避しようとするなら、ポンドはさらに下落するだろう。投資家が米中貿易協議の行方に注目を払っている中、ユーロ、円、フランの全てが更に下落した。