13日、中国が600億ドル相当の米国製品に対し最大25%の報復関税を課すことを発表した。これを受け、米国株式相場は大幅に下落した。
ダウ平均株価は600ポイント以上の下落。ナスダックとS&P 500は6週ぶりの低水準となった。
対米制裁関税開始は6月1日を予定しているが、中国はまだ合意への望みを捨てていない。一方トランプ米大統領は中国側ほどにはプレッシャーを感じていないようだ。同大統領はツイッターでさらなる追加関税の可能性ををちらつかせている。
13日の動向で興味深いのはリスクオフとして、米株価の急激な下落、世界的な国債利回りの低下、および原油価格の低下が一致していることだ。為替市場ではドル円が109まで低下した以外は、市場の反応は比較的鈍いものとなった。
米中貿易戦争が再び激化してから、ドル円、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは1%未満の下落であった。
米国が中国に対し追加関税を課すと決定したことを受け、先月から同3ペアの売りが議論されてきたものの、値動きは100pipsにすぎなかった。
貿易関係が急激に改善しない限り、米ドルと株式相場はリスクにさらされ続けるだろう。
ダウが25300をブレイクすれば、次のストップは24000になる可能性がある。この場合、ドル円は109を大きく下回り、豪ドルとNZドルに対しても大幅に安値を付けるだろう。
直近の豪住宅市場も不振だった。住宅ローン件数はマイナス0.5%という予想に対しマイナス2.8%となった。投資ローンもマイナス2.7%となった。
今週の企業信頼感と消費者信頼感指数は軟調になりそうだ。ただし、雇用統計がそれ以上に軟調化した場合は、遅くとも6-7月に豪中銀は利下げを行うだろう。
豪ドルはNZドル以上に下落した。これは、オーストラリアはより中国経済停滞の影響を受けやすいからだ。ただし、リスクオフの流れは両通貨に影響するだろう。
先週例外的に好調だったカナダの雇用統計にも関わらず、原油価格下落を受けて米ドル/カナダドルは再度値上がりを始めた。
現在最も底堅い通貨がユーロだ。ドイツの景気回復の兆しがあり、投資家らは今週の経済指標によりこの回復を後押しすることに期待を寄せている。
16日、ユーロ圏の鉱工業生産と独ZEW景気期待指数の発表が予定されている。
これらは米中貿易協議の後退と株安が起きる前に調査された数字であるため、大きな変動は見られないと予想される。
14日に英雇用統計が発表されることもありポンドが注目を集めるだろう。ユーロ圏とは違い、ダウンサイドリスクが見込まれている。
英製造業PMI、サービス業PMI、建設業PMIにおいてはすでに悪い結果が出ている。さらに、平均週休も停滞すれば、ポンド/米ドルは1.29を下回る可能性がある。