14日、米株式市場は反騰した。しかし、通貨の回復は見られないことから、FXトレーダーは楽観的でないことが分かる。
米中貿易摩擦により米国以上に他の国が影響を受けるとの見方から、米ドルは上昇基調であった。しかし、米国消費者・企業経済が影響を免れると見るのは間違いかもしれない。
15日発表の小売売上高は非常に重要な経済指標の一つだ。消費がなければ成長もないし、成長がなければ雇用もない。このことからも消費は経済にとって欠かせない要素だ。
しかしながら、今月の小売売上高は急落すると見られている。なぜなら、4月の消費レベルは需要拡大ペースを正確に反映するものではないからだ。
今月の株式市場における1000ポイントの下落や緊迫する米中貿易協議により、消費者心理はさらに悪化するだろう。
予想値は0.2%増と低めに設定されている。
仮に消費者支出が0.5%以上上昇した場合は、ドル円は110以下の範囲で回復するだろう。
最近の貿易の不透明感によりFRBが悲観的になり、経済活動は再度減速するだろう。
ユーロにも同じ兆候が見られる。最近の経済指標は回復しているものの、今後数か月間の減速が懸念されている。
ドイツZEW景気期待指数は昨年10月以来の悪化となったが、EUの自動車関税問題が深刻化すれば、さらなる悪化が見られるだろう。
今週末、トランプ米大統領は中国からヨーロッパへ標的を移すことが考えられる。同大統領は5月18日までに自動車関税について決定を下すと通知した。
新たに関税が課されるとなれば、EUにおける500億ドル規模の自動車産業がリスクに直面することになるだろう。
3か月前、米商務省はトランプ大統領に対し、安全保障上の観点から関税を正当化する報告書を提出した。これに基づく90日の検討期間が18日に終わる。
EUと投資家らは追加関税の延期を予想している。米国側が輸入車・部品に対する関税を25%に引き上げれば、EUは大きな打撃を受けることになるだろう。
ユーロトレーダーは期限を前にヘッジに動くと見られている。
14日、英ポンドは軟調な経済指標を受け急落した。
4月失業保険受給申請も減少したが、真に懸念されるのは所得だ。
平均週給は3月の3.5%から3.2%に減少。
労働市場は悪化に転じつつあり、ブレグジットにより企業投資が縮小すれば、さらに悪化する恐れがある。
資源国通貨はまちまち。軟調な経済指標を背景に豪ドルとNZドルは値を下げていた。
ニュージーランドの住宅売上が後退した一方で、豪企業信頼感も低下した。
15日、加消費者物価指数(CPI)が発表される。アイビー購買担当者指数を考慮すると、下振れリスクがあるだろう。
これらの通貨の下げ相場は続くだろう。一方で、これらは過剰に売られており、鈍い値動きはショートスクイーズが容易に起こり得ることを示している。