米国株式市場は3日続伸。16日、米ドルは他の主要通貨に対し軒並み高値圏で取引された。
米住宅着工件数や米住宅建設許可件数が先月の減少から回復するなど、好調な米経済指標がドル高を支えた。
失業保険申請件数は減少し、5月フィラデルフィア製造業指数は予想を上回り上昇した。これらの好調な経済指標が米国経済に対する懸念を軽減させているが、完全には払拭できていない。
15日に発表された米小売売上高は予想外の減少となった。この結果は米経済にも大きく影響するだろう。
ミシガン大学消費者信頼感指数は本日発表を控えている。米中貿易戦争の悪化や、米国株価が今月2%以上下落していることなどを考慮すると、信頼感指数が回復することは考えにくい。
ドル円は111.00-110.50間まで回復する見込み。
ポンド安の要因としては、メイ英首相への退陣の要求が強まっていることが考えられるが、欧州連合(EU)離脱合意案の承認を得るまでは首相を続投する見込みだ。
協定案は6月3日の週に再提出される予定であるが、可決への見通しは明るくない。それどころか、ブレグジットへの懸念は増大するばかりだ。
その証拠に、英失業保険申請件数は増加し、賃金の伸びは鈍化した。
緊迫する貿易戦争のこともあり、英国経済が回復するのはまだ先のことになるだろう。
一方、オーストラリアの低調な雇用統計を受け、豪ドルは4か月以来の安値を付けた。
先月は予想を上回り新たに28000件の雇用が創出されたものの、それらはすべてパートタイムの就業者数であった。
フルタイム就業者数は6300件減少し、失業率は5.2%まで上昇した。
オーストラリア準備銀行(RBA)は先月金利を据え置いたが、経済見通しについて前向きな発言はしなかった。
RBAが利下げを行わなかったのは、米中貿易協議の影響を見極めるためであった。
影響が明らかになった今となっては、RBAには金融緩和以外の選択肢はない。消費者物価指数が2016年11月以来の低水準まで下落したこともこの決定を後押しするだろう。
豪ドル/米ドルがフラッシュ・クラッシュで0.6750に達するまで、下支えする要因はなにもない。
NZドルも安値圏を推移している。本日公開の購買担当者景気指数(PMI)と生産者物価指数(PPI)は軟調な結果となった。
ユーロドルは7日ぶりの安値を付けた。
同ペアは50日単純移動平均線の抵抗を受け、ポンドや豪ドル程ではないものの大きな動きを見せた。
ユーロドルは過去3週間で1.1250を3度テストしたものの、すべて失敗した。
下落トレンドが継続しており、1.11水準を下回る可能性もある。
ファンダメンタル的には、自動車への追加関税が延期されたとしても、中国経済が停滞する中でドイツ経済が回復を続けるとは考えにくい。
これは投資家にも欧州中央銀行(ECB)にも周知の事実だ。
EU圏経成長がさらに鈍化した場合は、来月発表される新規の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の詳細も発表されるだろう。