5月中に米ドル/カナダドルは3度1.35をテストしたものの失敗した。4月も含めると4回失敗したことになる。
1.35は同ペアにとって重要なレジスタンスラインだ。そして材料が揃えば、これは簡単にブレイクできるだろう。
好調なカナダ経済指標をものともせず、米ドル/カナダドルは過去6週続伸している。また本日午後11時に発表される政策金利発表を前に投資家は用心深い見方をしている。
仮に投資家の考えが正しく、カナダ銀行が好調な雇用統計や小売売上高を無視するのであれば、米ドル/カナダドルにとっては今月4回目のテストとなる可能性がある。
直近の経済指標を見る限り、カナダ経済は波に乗っている。
4月の雇用統計は記録破りの好調ぶりを見せた。加えて住宅着工件数やコア小売売上高も躍進した。
カナダ銀行は住宅関連の経済指標を重要視している。 また製造業購買担当者指数も加速している。
インフレ率は月次ベースでは緩和されたが、年次ベースでは2%となっている。
2週間前、カナダ銀行ポロス総裁は堅調なファンダメンタルにより住宅市場が活性化されており、今年後半に成長が拡大するとの見解を示した。
しかしこれは前回の金融政策会議や今月初旬の姿勢とは異なったものである。
カナダ銀行が4月に開いた会合の際には、好調な小売売上高と貿易収支を背景に、カナダ経済は広く回復していた。
しかしながらカナダ銀行はひと月経てば住宅市場や消費が弱まるとの予測のもと好調な経済指標を過小評価し、弱気な景気予測を行った。
ここには世界的な経済成長や貿易戦争への懸念も考慮されていた。
それ以来、カナダ経済はアウトパフォームを続けている。一方で米中貿易摩擦は悪化し、原油価格は10%下落しており株価もすでにピークを迎えた。
中国は、米国に次いで第2位となるカナダの貿易相手国だ。そして米中両国の景気後退の予想により、カナダの下半期経済見通しにも暗雲が立ち込めている。
カナダが貿易摩擦の影響を受け、カナダ銀行も過剰に用心深くなる場合、米ドル/カナダドルは1.35を上回るだろう。
4月のカナダ銀行会合以来、カナダ経済は以下のように推移:
一方、ユーロドルは欧州議会選挙の結果を受け再度下げ相場となっている。
欧州懐疑派の議席数は事前予想を下回り約3割となった。親EU派は過半数を確保したものの、中道路線を行く既存二大政党は議席を減らした。
経済指標が好調だったにも関わらず、企業活動が停滞するにつれて欧州の経済予測は厳しいものになってきている。
ドイツの失業率が5月29日午後4時55分に発表される。また購買担当者指数(PMI)によると、4月の製造業とサービス業セクターで雇用成長が鈍化した。
テクニカル的観点から言うと、ユーロドルは20日単純移動平均線で反発し現在は安値圏で推移している。
今後は1.1150以下に下がり、5月の安値をテストする可能性がある。
英党首選とブレグジット動向の懸念によってポンドドルは下押しされ、現在は1.26台まで後退している。
米消費者信頼感指数は予想を上回る好調な結果で、ドル円の下げ相場を止める材料となった。一方米国債利回りは10か月ぶりの低水準となっている。
そしてトランプ米大統領は中国との合意準備が整っていないとし、同ペアには下振れリスクがあると言える。