水曜日の米国株式市場は急落し、いくつかの重要な下値支持水準を下抜けした。これにより主要通貨も下落している。 ダウ平均は100日と200日の単純移動平均線を下回り、3ヶ月ぶりの安値をつけ、 S&P 500は2800を下抜けた。高ベータ通貨の1つであるニュージーランドドルは、予想より強い企業信頼感指数とANZ景況感指数にもかかわらず安値となった。世界の2大経済圏が激しい貿易戦争を続ければ、米中両国の経済が同時に減速し、世界経済に深刻なダメージを与えるのではないかと懸念されている。貿易協議が不調に終わった後、中国最大の国営新聞は米国に次のような敵対的な警告を発していた。「中国の発展と利益を守る力を過小評価しないように米国側に勧告する。我々が米国に警告しなかったと言ってはならない」。また、中国がほとんどすべてのハイテク製造業において重要なレアアースの輸出を制限または削減するのではないかと懸念されている。中国がこのカードを切る場合は、株式市場は最低でも2%から3%の下落となり、それが通貨にも及んで下落することになる。 豪ドルとニュージーランドドルは最も打撃を受けるだろうが、 ドル / 円も108円に向かい、 EUR / USDは1.10ドルに下落する可能性がある。
多くの国がすでに貿易戦争の痛みを感じている。昨日にはドイツが10年間で最大となる失業者の増加を公表した。 増加の約75%は統計を再分類したのが原因だが、それでも2年近くで初めての増加だった。失業率も4.9%から5%へと悪化している。この状況は、製造業とサービス業PMIの雇用の減速と一致している。連邦労働局によると「失業の増加は経済の減速の最初の兆候だ」とのことだ。他でも弱い指標が出る可能性もあり、それは欧州中央銀行の来月の理事会においてECBの懸念が高まることを意味している。 ユーロ / ドルの次のターゲットは1.10となる可能性がある。
ドル / 加ドルはカナダ銀行の金融政策発表以前でも1.35を超えていた。カナダ銀行が政策金利を据え置いたことに驚きはなかったが、投資家は、カナダが現在のペースで成長し続けることができると確信できていない。カナダ銀行によると、第4四半期と第1四半期の減速は一時的なものであり、第2四半期には持ち直しの兆候があるというデータが彼らの見通しを補強している。彼らは事業投資の増加、関税の撤廃、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)批准の見通しがよいことに意を強くしている。石油セクターも生産と価格が上昇するにつれて回復し始めている。しかし、リスクはある。拡大する貿易戦争は世界の経済成長の阻害要因であり、中国の規制がカナダの輸出に直接影響するとカナダ銀行は警告した。第1四半期の貿易収支の悪化を考えると、明日発表の経常収支が弱くなる可能性があるため、ドル / 加ドルの上昇傾向に変化はないだろう。
ポンド / ドルは4ヶ月ぶりの安値へと向かっており、底値がどのあたりになるかを探っている。今週発表される予定の主要な英国の経済指標はないため、この流れが続くかもしれない。英国の政治はまだ混乱している。 経済は世界の他の国々と同じく減速リスクにさらされており、英ポンドは高ベータ通貨だ。 下落トレンドの場合、投資家がリスク資産から逃避すると、通貨が予想以上に安くなることがよくある。ポンド /ドルの主要なサポートレベルは1.25あたりだが、1.2442という1月の大幅下落の時の最安値も試す可能性がある。