株式市場は先週続落する形となったが、経済成長の陰りに対してFOMCによる利下げの期待が高まっている。
6月14日に発表された5月の米小売売上高はわずかに市場予想を下回った。続いて、6月19日には米国政策金利発表が今週予定されている。また先週では、イラン沖のタンカーに対する攻撃により激化した中東情勢がエネルギー銘柄の上昇に寄与していた。
今週はこれらのマクロ要因に加えて、巨大企業の株価に影響を与える企業関連のイベントが多く控えている。その中で、以下が今週とりわけ注目の3銘柄である。
1. キャノピー・グロース
市場全体が低迷していた昨年12月から、世界最大の大麻製造会社であるキャノピー・グロース(NYSE:CGC)は約2倍の株価となっている。生産拡大や戦略的提携により、娯楽用・医療用大麻事業の両者で高い市場シェアを獲得している。
2019年度第1四半期(1-3月期)の決算報告が6月20日に予定されているが、同社の市場での席巻ぶりを更に示す事が期待されている。市場予測平均で、予想EPSが-0.19ドル、予想売上高が6774万ドルとなっている。
オンタリオに拠点を置く同社は大麻関連企業で最大の時価総額となっており、6月14日の終値は41.18ドルとなっていた。カナダで急速に拡大する娯楽用大麻市場において30%を占めている。昨年8月にはアルコール飲料大手のコンステレーション・ブランズ(NYSE:STZ)が株式の40%を取得し、堅調な成長を続けている。
キャノピーは10-12月期においては、修正済み売上高総利益が22%であったことを報告している。新たな施設の建築に費用を投じ、今年末の販売を目指している食料・飲料製品の準備を行っている事が背景としてある。同社は今後18ヶ月EBITDAがプラスであるとの予測を示している。
2. アドビ
アドビシステムズ(NASDAQ:ADBE)も、今週市場を驚かせる銘柄となり得る。6月18日の市場引け後に、同社2019年度第2四半期(3-5月期)の決算が発表される。
市場予測平均では、予想EPSが1.78ドルで、予想売上高は27億ドルとなっている。3月の同社四半期利益予測では、市場の予測を下回り、期待に背く形となっていた。
同社はコア事業であるソフトウェアビジネスを強化しながらも、セールスフォース(NYSE:CRM)とマーケティングとEコマーステクノロジーのセクターで競合しており、訴求できるサービスの範囲を拡大する事で成長の加速を目指している。同社はアクロバット等のデスクトップパブリッシングに関連する製品で一躍有名になり、PDFファイルのフォーマットを開発し、メジャーなものにしてきた。しかし近年ではクラウドベースのサブスクリプションビジネスに軸足を移している。
同社は、デジタルエクスペリエンス事業において25%の受注増加を見込んでいる。同事業は、マーケティング、テクノロジー、データ分析製品等を含んでいる。同社株は年初来21%高を超える値上がりを見せており、14日の終値は274.28ドルとなっている。
3. ゼネラル・エレクトリック
ゼネラル・エレクトリック(NYSE:GE)は、新CEOのローレンス・カルプ氏の下でリストラを推進していくことが期待され、徐々にモメンタムを増してきている。また6月18日には航空部門のインベスターデイ・プレゼンテーションを予定している。
同社株は14日の終値が10.23ドルをつけ、昨年12月後半に時価総額の3分の2を失ってから40%回復している。
市場の注目が集めているのは、同社のキャッシュ創出に向けた施策が効果を出しているのかという点だ。同社ガスタービン・その他製品への需要が低下したことを踏まえ、同社はキャッシュフローの改善と、バランスシートの健全化を目指している。カルプ氏は、2019年に約20億ドルを投じてこれに取り組むことを宣言している。
現在の低迷は、同社の127年の歴史の中でも最も深刻な部類に属する。また18日のプレゼンテーションは、ボーイング737MAXの事故によるGEの航空部門にどれだけ深刻な影響を与えるかを知る上でも重要なものとなっている。同社はボーイング(NYSE:BA)のジェットエンジンを製造しており、737MAXの運航停止による不確実性を「新たなリスク」として認識している。