今日の為替市場ポイント
大阪で行われるG20の開催が明日に迫り、市場の注目は再び米中間の貿易関係に集まっている。26日の朝ヨーロッパ市場の取引において、米中間の通商合意は90%完了しているという報道を受け米ドル/日本円は上昇した。しかしながらムニューシン米財務長官のインタビューおける発言は誤って引用されており、「90%完了した」ではなく、正確には「実現まで90%といったところまで進んでいた」と発言している。今回のケースでは時制は大きな違いを生む。ほほ合意に近づいてるという交渉と、合意に近いところまで到達したが最終的に破棄された交渉というのは大きく違うからだ。
しかしながら、FXトレーダーは合意成立を期待しており米ドルは下げ留まった。G20での2者間の対談後、投資家は最低でも交渉が再開することを望んでいる。とはいえ我々からしても、トランプ米大統領の動向はとても予測しづらい。27日、同氏は貿易に関する対談について楽観的だと述べた一方で、「現状に非常に満足」していると述べ、追加関税についても考えている事を明らかにした。このようなコメントだけを鑑みると、トランプ米大統領がこれまでと違う姿勢で貿易に関する対談に臨んでいるようには考えられない。そのため、米ドル/日本円がG20前に上昇しているものの、金曜日の市場引け前までに有意義な進展が見られない場合、利食い売りが生じると見ている。
一方で、リスクアペタイトの増長により他の主要国通貨は上昇した。ニュージーランドドルが2ヶ月間で最高値を記録し、市場の上昇を牽引した。同国中央銀行は、ダウンサイドリスクを考慮し利下げの必要性を発信していたため、この値動きは多くのとって意外なものであったかもしれない。同行は世界経済が減速していくと予測し、進行中の国内需要の低下というリスクがあると見ていた。事業投資に不確実性が立ち込める中、住宅価格の低迷も消費を鈍らせる可能性がある。NZドル/米ドルは政策金利決定後急落したものの、すぐに回復した。ニュージーランド準備銀行のハト派的発言が広く期待されていたもので、新たに市場を驚かせるような材料はなかった。金利先物は8月の利下げを68%、9月の利下げを79%織り込んでおり、先週と代わり映えしない状況だ。代わりにG20サミットが目下注目され、高変動通貨という性質ゆえに、米中間の貿易関係の改善はニュージーランドドルにとってかなりポジティブな影響を与える。
米ドル/加ドルは原油に反比例し6ヶ月間で最低水準に落ち込んだ。 原油価格は、東海岸の主要な製油所の活動停止を受け3%高となった。同地域内で最古かつ最大の製油所が恒久的に閉鎖される可能性があり、影響は甚大なものになると見られている。またカナダ経済は他国比で順調である。今週1つ発表されただけでマイナー指標ではあるものの、 より広範囲の需要の指標となる卸売売上高の増加が見られた。GDP(国内総生産)の発表が28日に予定され、期待が高くないことを踏まえるとアップサイドのサプライズも期待できる。次の米ドル/加ドルの支持線は1.30となっている。