・11月13日引け後に第1四半期(8-10月期)決算報告発表
・予想売上高:130億7000万ドル
・予想EPS:0.81ドル
シスコ(NASDAQ:CSCO)は以前より世界経済の減速により打撃を受けることを示唆していたが、決算はそれほど低調なものとなることはなさそうだ。
同社の予想売上高は130億7000万ドルとなっており、前年同期と比較して横ばいとなると見込まれている。ただコンセンサス予想ではEPSが0.81ドルと前年同期の0.75ドルから上昇すると見込まれている。
現在進行中の米中貿易戦争の影響を受け、中国からの発注に歯止めがかかっており、これに伴いシスコの売上高も減少している。
同社の製品はインターネット経済におけるバックボーンとなっており、その売れ行きは世界需要や経済見通しを予測するうえで重要な指標となっている。
同社は前期の決算報告にて、新興市場の発注量が減少していること、またアジア太平洋地域では発注が8%減少したことを明らかにした。同社の中国からの収益は3%未満ではあるものの、同社によれば中国でのビジネスは「劇的に」悪化しているという。シスコの機器を使用していた中国の国営企業や通信プロバイダは貿易摩擦の影響を受け同社製品の使用を回避している。
これらの悪材料によりシスコの株価は大きな打撃を受けている。7月に58.26ドルの高値を記録して以来、同社株は約17%下落しており、12日には48.37ドルで終値を迎えている。ただこうした悪材料を加味しても、長期的な観点からみれば同社株は保有する価値のある銘柄だと我々は見ている。
確固たる地位
我々が同社の見通しを楽観視する理由として、同社がネットワーク機器メーカーとして確固たる地位を世界的に確立しているからという点が挙げられる。低調なハードウェア市場の影響を受け同社の株価が更に下がることも十分に考えられるが、ITインフラを構築するにあたって非常に重要となる同社の製品への投資を、企業が永久に行わないと考えるのは現実的ではない。
また我々が強気姿勢を保つもう一つの理由として、同社がサイバーセキュリティやアプリケーションなどの新興市場に対し積極的な進出を図っていることが挙げられる。
チャック・ロビンスCEOのもと、シスコはソフトウェア及びサービスビジネスを構築するために一連の買収を進めている。8月にはリアルタイムで音声の文字起こしを行うソフトウェアなどを提供するVoiceaを買収することを発表した。また7月には通信機器メーカーのアカシア・コミュニケーションズ(NASDAQ:ACIA)を26億ドルで買収することに合意している。
同社が売上の大半を占めるアメリカで支配的地位を確立していることに加え、これらの新しい取り組みを考慮すれば、世界経済におけるリスクが減少した際に同社がアウトパフォームするのは自然な流れだと考えられる。また、同社は成長が見込めるだけでなく、配当面においても信頼性の高い企業であり、そうした点においても同社株は魅力的な銘柄だと言えるだろう。
同社株の年間利回りは約3%に達しており、また1株あたりの配当はこの5年で14.20%上昇し0.35ドルにまで上昇している。
総括
シスコはこれまでのハードウェアビジネスに加え、新たに高利益分野への進出を図っており、この2つのビジネスの組み合わせにより大きな成長を遂げようとしている。もし決算発表後に同社の株価が下落することとなれば、それは同社株をロングする良い機会であると我々は考える。