原油価格は協調減産を巡って決定的な瞬間を迎えており、原油市場に注目が集まっている。
しかし、本日は貴金属、特に銀へ焦点を当てる。
銀先物は2020年、16ドルから22ドルのレンジでの取引が予想されていたが、現在は予想と全く異なっている。
新型コロナウイルスで市場の流動性が失われる中、リスク資産の損失をカバーするために金が現金化された。銀も同様に売り圧力を受けた。
銀は11年ぶりの底値から3週続伸
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銀先物は3月18日、11年ぶりの安値となる11.74ドルを記録した。
しかし、銀は多少のボラティリティがあるとはいえ、3週続伸となっている。
本稿執筆時点では、COMEXの5月限銀先物は0.59%高の15.295ドルとなっている。さらに、週次では5.4%高、過去2週間では18%高となっている。
BubbaTrading.comのチーフマーケットストラテジストであるTodd Bubba Horwitz氏によると、5月限銀価格は2ドル以上の上昇の余地があるとのこと。
同氏は「銀は堅調に値を上げている」と述べた。さらに「16ドルに到達し突破する可能性がある」と付け加えた。
銀は18ドルまで上昇するのか?
5月限銀価格が6日に15.92ドルとなったことを受け、Horwitz氏は「18ドルをテストする可能性がある」と述べた。
一方、銀価格に対して慎重に見る向きもある。銀にはさらなる上昇の余地があるとしながらも、激しい値動きとなる可能性がある。
RJO Futures社のシニアマーケットストラテジストであるEli Tesfaye氏は「金銀比価は3月に驚異的な高値を記録した後、4月の銀価格は金価格以上に好調な滑り出しとなった」と述べた。
金先物価格は7日、2012年ぶりの高値となる1オンスあたり1742.20ドルを記録した。金と銀の交換比率は108:1となっている。
Tesfaye氏によると、銀は他の金属と同様に 、新型コロナウイルスの流行から2四半期にわたって予想される需要・景気循環に巻き込まれたとのこと。
銀は不況に対して脆弱な工業用金属であり、新型コロナウイルスによる不況は過去最悪なものになる可能性が高いとアナリストは述べている。銀は宝飾品や銀食器だけでなく、鏡や歯科用合金、はんだ、ろう付け用合金、電気接点、電池にも不可欠である。
そして、今では16ドルを下回っている銀も、かつては現在の3倍以上の価格で取引されていた。
銀先物は2011年4月、10年ぶりの高値となる49.52ドルを記録していた。
また、銀価格の最高値は1980年1月の50.30ドルである。インフレを考慮すると現在の158ドルに相当する。
銀は横ばいか、上昇か?
また、Tesfaye氏は銀価格の短期的な上昇はあれど、大幅に上昇する可能性は低いと見ている。
その一方で、新型コロナウイルスによる景気後退が銀へ売り圧力を加え、12ドルを下回る可能性があると同氏は述べた。また、以下のように付け加えた。
「たいていの場合、銀は横ばいの値動きとなるだろう」
さらに「私の見解では、大半のセクターで回復の兆しが見え始めるのが早いほど、銀価格が安定へ向かうのも早いだろう」と語った。