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ロックダウンの解除や景気回復への期待感から株価上昇
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利回りは最低水準へ
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中国は10年ぶりにGDPが減少
新型コロナウイルスの焦点がロックダウンの緩和や治療薬へ移り変わり、米国株式市場は2週続伸となった。
S&P500は2週続伸で3%高となった。また、我々は株価に対して強気な見通しを抱いている。
うすい希望と厳しい現実
株式市場は現実から目を背けており、高値へ押し戻ろうといている。現在、COVID-19は全世界で233万人以上が感染しており、16万人近くが死亡している。さらに、米国では73万5000千人以上が感染している。
しかし、FRBと米政府による景気刺激策や治療薬開発への期待感から、株式市場は値を上げている。
株式市場が微かな希望を抱く一方で、製薬企業は迅速な治療薬の開発が不可能であることを明確に示しており、いつ完成するかも定かではない。1980年にエイズが流行した際も、ウイルスを抑制できる抗レトロウイルス治療薬の開発まで数年を要した。
さらに、一部の経済指標は景気後退を示唆している。米新規失業保険申請件数は3週連続で急増している。先週だけで520万件、過去4週間で2200万件にまで登る。
大恐慌以来の失業者数であり、過去45年間でも尋常じゃない数である。
さらに、3月の小売売上高は約8%減となり、住宅着工件数は悲惨な結果であった。一方、中国の第1四半期GDPは前年同期比6.8%減となった。
米国においても同様に経済が収縮するだろう。新型ウイルスによる不況がどれだけ続くのかは明らかになっていない。実際、エイズの治療法でさえ一向に見つかっていない。
とはいえ、株式市場は依然として上昇基調である。そのため、今後も値を上げ続けるだろう。
米主要株式指数は上昇、利回りは低下
S&P500は最高値を記録した2月19日から3月23日までで33.9%安となった後、17日までで28.5%高となった。17日の同指数は2月24日ぶりに50日移動平均を上回った。
一方で、同指数は23日の安値から上昇ウェッジを形成している可能性がある。ブレイクが下方か上方かは分からない。しかし、キリのいい200日移動平均線付近の3000ドルでブレイクするだろう。
他方、ダウ平均株価は最高値を記録した2月12日から3月23日までで37.1%安となった後、17日までで30.5%高となった。17日の同指数は50日移動平均線を下回った。しかし、S&P500と同様に上昇ウェッジを形成している可能性がある。
ナスダック総合指数は3月23日の底値からわずか23.1%高に留まっている。同指数は50日移動平均線だけでなく200日移動平均線を上回っている。さらに、100日移動平均線の下で長い下ヒゲの陰線が現れている。20日に下落した場合、売りのサインとなるだろう。
ラッセル2000は3月23日の底値から24.3%高となった。同指数は1月16日に最高値を迎えた後、3月23日までに42%安となっていた。さらに、同指数は先週、主要株価指数の中で唯一の下落し、1.4%安となった。
株式市場が値を上げた一方、米10年国債を含む国債利回りは4月3日以来の最低水準まで低下した。
テクニカル分析の観点では、利回りは3月9日の安値以来の上昇トレンドラインを割り込んだ。さらに、三角持ち合いの下方ブレイクとも考えられ、今後も下落が続く可能性がある。
米ドルは3月19日から続く下降トレンドラインを上回っており、先週は小幅安となった。
テクニカル分析の観点では、3月9日から19日までの10日間で8.5%高となった後、強気のペナントが形成された可能性がある。
金は、リスクオンとドル高の影響で下落した。
しかし、ヘッドアンドショルダーズボトムのネックラインがサポートとなり、再び2000ドルまで上昇する可能性が示唆される。
サウジが米国に対して原油輸出を倍増させたことが報じられ、WTI原油は下落した。
世界最大の原油輸入国である中国は、経済の収縮が明らかとなった。17日にWTI原油は約8%安となり、18ドル台へと突入した。テクニカル分析の観点では、3月18日以来サポートとなっていた20ドルが、レジスタンスラインとなるだろう。