ウォルト・ディズニー・カンパニー (SA:DISB34)は、逆境の最中にある。新型コロナウイルスの影響で、世界中のテーマパークやリゾート、映画館などが閉鎖されており、同社の事業は不振に喘いでいる。
同社は先週、第2四半期における営業利益について、新型ウイルスによる影響は14億ドルと推定し、このうち10億ドルはテーマパークの損失分だとした。
しかし、同社にとって最悪の事態は免れている。今四半期は、映画館の閉鎖やケーブルネットワークEPSNにおけるスポーツ中継の中止など、エンターテイメントが本格的に閉鎖される。一部のアナリストは、同社が数億ドルの損失を出し、収益が急落すると見ている。
これを受け、同社の株価は年初来で4分の1まで下落している。11日の終値は1.27%安の107.77ドルとなっている。
しかし、同社はこの逆境を乗り越えるために様々な措置を講じている。同社は一時的に数千人を解雇し、役員報酬の削減を表明した。さらに先週、7月の配当を見送り、設備投資を9億ドル削減することを発表した。
回復までの道のり
多くのアナリストはディズニーに対して、かなりの期待を寄せている。33人のアナリストの内、22人が「買い」、1人が「売り」、11人が「中立」としている。
同社は様々なメディアやエンターテイメント資産を有しているので、新型ウイルス終息後に反発する可能性が高い。同社の取締役会長兼会長であるロバート・アイガー氏は電話会議にて、我々は「この危機を耐え抜く」と述べた。
同社にとっての微かな希望は、動画ストリーミングサービスの「ディズニープラス」である。11月にサービスを開始して以来、5600万人以上の加入者を獲得している。新型ウイルス終息後、ディズニープラスは同社における主要な収益源となる可能性がある。
とはいえ、同社の回復への道のりは緩やかなものになるだろう。上海では、一定の条件の元、ディズニーランドを再開することが許可された。
上海ディズニーランドでは、顧客は体温チェックを通過し、感染者を追跡するためのスマートフォンアプリで健康状態を確認する必要がある。またウォール・ストリート・ジャーナル によると、マスク着用が義務付けられており、一部のアトラクションやイベントが中止されているとのこと。
総括
ディズニーの株価は3月の安値から回復しており、市場が同社への希望を完全に捨てていないことを示唆している。
新型ウイルスの治療法が確立されるまで、同社の収益が完全に戻らないことは明らかである。長期的な視点では、同株は良い銘柄かもしれない。