最近の通貨の値動きで確実に分かったことといえば、ファンダメンタルズの重要性。
欧州中央銀行は最もハト派的な中央銀行の1つであり、ユーロはそれゆえ2020年6月以来の最低水準に落ち込んでいる。
世界中の中央銀行が金融政策を正常化するため大きな一歩を踏み出している最中、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、
今や引き締め措置は規模に関わらず、善よりも害をもたらすだろうと述べている。
ユーロ対米ドル価格は、夏以来一貫して下降傾向にある。
ECBはパンデミック緊急購入計画の規模を縮小したものの、
米国連邦準備銀行、イングランド銀行、カナダ銀行、ニュージーランド準備銀行に大きく遅れをとっており
金利引き上げが後回しになっている状況だ。
経済データがまちまちであるだけでなく、ユーロ圏最大の経済であるドイツは、
悪質なCOVID-19の第4波に立ち向かっている。新規患者数は記録的な高水準にあり、ドイツ保健相は規制再開の声をあげている。
アムステルダムも週末に感染率を抑えるためのロックダウンを発表し、
多くの投資家がオーストリアとドイツもそれに続くか様子を伺っている。
ヨーロッパでのCOVID-19に関する新たな懸念が、外食産業やコンサートの参加といった社会的活動にストップをかけることになりかねない。
ヨーロッパの厳しい冬の見通しは、ECBの慎重な見通しを更に強化し、こんにちの対米ドルユーロ価格の急落を正当化している。
火曜日の米国の小売売上高レポートは今週の最も重要なデータの1つであり、
その数値が対米ドルユーロ価格を16か月ぶりの安値に押し下げる可能性がある。
インフレーションは政策正常化の最大の推進力の1つであり、
中央銀行家がインフレは「一時的」であると主張している中、現状は予想以上に長期化している。
自動車とガス価格の上昇も、支出を増やすだろうと予想されている。
輸送費、食費、ガス価格は全て上昇しており、7年ぶりの高値を記録している。
自動車とガスを除き、賃金の伸びの鈍化により、需要はより緩やかな水準にとどまっている。
明日の米国の小売売上高レポートは、ユーロやその他の主要通貨に大きな影響を与える可能性がある。
英国の労働市場、インフレ率、小売売上高が発表される予定もあり、今週は英ポンドにとっても忙しい週となるだろう。
火曜日の雇用レポートが最初の発表となり、これは一時解雇プログラムが終了して以来最初の労働市場レポートであり、
金利が上昇する可能性のある12月のイングランド銀行会議前の2つの発表のうちの1つ目である。
雇用と賃金の伸びは鈍化すると予想されるものの、失業率は改善する可能性がある。
水曜日のインフレ率レポートのデータを上回った場合、 ユーロ、 日本円、 スイスフランに対して英ポンドが大幅に上昇する可能性がある。
本日の最もパフォーマンスの高い通貨はオーストラリアドルとカナダドルだった。
豪ドルと NZドルは、中国の小売売上高と工業生産数の増加により上昇。
石油価格は下落したものの、強力なインフレデータと来年のカナダ銀行による利上げの見通しにより、
カナダドルは引き続き支持された。 日本円は、第3四半期のGDP数値が非常に残念な結果となったため、
スイスフランを除くすべての主要通貨に対して売りとなった。
経済は0.2%の縮小予測に対し、0.8%の結果となった。
年間ベースでは、GDP成長率は予測の-0.8%に対して3%の低下となった。
日本政府は、18歳以下の人口に対し一時金を配布したり、減税を行う形で追加の財政刺激策を提供することが広く期待されている。