新規公開株（IPO）の投資家にとって、今年は厳しい年となった。2021年に公開市場を通じて資金を調達した企業の多くは、当初は株価が急上昇したものの、足元は弱気な市場で取引されている。
CNBCは先週、IPO、特別買収目的会社（SPAC）、または直接上場によって今年米国株式市場に上場したハイテク企業55社を特集した。そのうち、IPO後の高値から値下がりが20％以下に留まっているのは、半導体機器を製造するGlobalfoundries社（NASDAQ:GFS）の1社だけだ。さらに悪いことに、CNBCのレポートによると、今年新規に上場した企業のうち23社の株価は、高値から半値以下となっている。
以下は、今年最もホットな業界の企業であるRivian Automotive社(NASDAQ:RIVN)とCoinbase Global (NASDAQ:COIN)について、直近の下落を受けて、どちらのほうがこれから投資をする上で妙味があるのかについて分析していく。
Rivian Automotive社：新しいEV市場の寵児
アマゾン（NASDAQ:AMZN）が支援する電気トラックおよびSUVメーカーであるRivian社の株価は、11月中旬にIPO後の最高値となる179.40ドルを記録した後30％以上下落している。
一時はIPO後の買い戻しにより、Rivian社はボーイング(NYSE:BA)、スターバックス(NASDAQ:SBUX)、キャタピラー(NYSE:CAT)を含むS&P500種指数を構成する企業の90％よりも大きな時価総額を有していた。
しかし、株価が持続不可能なレベルで取引されていることに投資家が気付いたことから、目を見張る急上昇は長続きしなかった。Rivian社は、電気自動車のピックアップ・トラックとSUVを開発している。9月に同社は主に自社の従業員向けにトラックの販売を開始した。同社は2023年後半までに主要工場での年間生産台数が15万台に達すると予測している。
先週金曜の114.66ドルから上昇して、月曜日には118.90ドルに上昇した。
投資家はこの新しいEV事業者の将来性に好意的な見方を有しているが、好材料のほとんどはすでに株価に織り込み済みであると大多数のアナリストは考えている。昨日の終値で、同社の時価総額は1,059億7,000万ドルとなっており。これは既存自動車メーカーであるフォード(NYSE:F)やゼネラルモーターズ(NYSE:GM)よりも高い時価総額である。
先週、JPMorganは、Rivian社に対して目標株価を104ドルと設定し、見通しをニュートラルとした。同社のアナリストは次のように述べている。
「我々のニュートラルという評価は、非常に魅力的な売上の成長見通し、同社の手掛ける驚くべき世界クラスの製品、構造的な業界の追い風を評価する一方で、その成長のために見込まれる多額の投資と、明らかにすでに多くのことが株価に織り込まれていること、という両面のバランスが取れていることに由来する」と説明した。
また、ゴールドマン・サックスによるRivian社の評価もニュートラルだ。目標株価を94ドルとし、同社はEVの分野で良い位置にあり、成長の可能性を秘めていると述べている。
「自動車業界は歴史的に、EVを含めて新規参入者が規模拡大するのが難しいとされてきた（例：テスラ (NASDAQ:TSLA)は製品発売の遅れに直面している）。Rivian社はまだ立ち上げの初期段階にあり、業界経験の豊富なチームを持っているが、サプライ・チェーンの環境は依然として厳しいものがある」としている。
暗号資産ブームの恩恵を受けるCoinbase社
暗号資産取引所であるCoinbase社の株価は、2021年に話題になったその他のIPO株と同様の急騰と急落を繰り返している。同社の株価は、4月14日に取引開始して以来、下落圧力を受け続けている。足元、11月初旬の高値から約30％下落している。
しかし、この弱気な動きは米国最大の暗号資産取引所であり、暗号資産に特化した大手企業として初めて上場した同社の成長見通しの改善に反したものだ。個人投資家と機関投資家の両方からデジタル資産市場への関心が急増しており、Coinbase社は利益を得るのに有利な立場にある。
最近の株価の低迷は、コインベース社の 第3四半期決算がアナリスト予想を下回ったことに由来する。この収益の未達により、一部の投資家は成長の見通しに懐疑的であるが、ビットコインやその他のデジタル資産の採用が世界的に増加している中で、今回の低迷は単なる一時的なものであると考える理由は多くある。
JPMorganアナリストであるKenneth Worthington氏によると、
「我々は、暗号資産市場は耐久性があり、かつ成長しているとみており、Coinbase社はイノベーションを起こすことで、この市場の成長に影響を与え、利益を得る機会があると期待している。」更に「我々は、Coinbase社の大規模で信頼できる取引所としての地位を確立できるよう、有機的および非有機的な成長の機会があると考えている。その成功のためには、暗号資産取引における「最高」のものを開発するために必要な人材を雇用することができるかどうかにかかっている」と付け加えた。
結論
Rivian社とCoinbase社は、現代経済の急成長分野を代表する企業であり、各々が将来的に成長する分野に投資資金を配分する機会を投資家に提供している。
最近の両社の株価の下落により、株価のバリエーションは同社のファンダメンタルズに近づいたことを示している。そのため長期的な投資家は、一方または両方へのポジションを段階的に構築することを検討して良いかもしれない。
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