ドル円は10月26日週、 じり高に推移する場面がみられた。 前週に大きく値下がりしたユーロ円が底堅く推移し、 175円割れを免れた。 ムーディーズがフランスの格付けと見通しを据え置き、 仏国債が買い戻されるなど緊張が和らいだ結果である。 一方で円は軟調だった。主要通貨の対ドル変化率をみると、 利上げ予想に反して据え置きを決めたニュージーランドドルがサプ ライズから大幅に下落したが、 円はそれを除けば最も冴えない値動きだった。
FOMCは2名の反対が出たものの、 予想通り政策金利の据え置きを決めた。経済の評価を前回の「 solid」から「strong」に引き上げ、 インフレについても遅滞なく目標まで戻すと明記するなど、 引き続きインフレ対応に注力する考えである。もっとも、 そうした判断を下すまでにさらなる情報を集めることが手助けにな るとも記載された。当面の利上げ継続方針を示しつつ、 それほどタカ派に傾斜したわけでもなく、 市場に波風を与えることなく通過した。
日銀も予想通り据え置きを決めたが、「 基調的な物価の上昇率が目標と概ね整合的」として、 物価安定目標の達成を事実上宣言した。 その上で金融緩和度合いを調整していくとし、 利上げ継続方針を改めて示したほか、 ETFの売却ペースの加速も決定した。 同時に公表された展望レポートでは2027年度の物価見通しが上 方修正され、 記者会見で植田総裁は物価について上振れリスクの方が大きいとし ている。今後、日銀は短期の実質金利(=政策金利-インフレ率) のマイナス幅の解消に向け、 四半期毎に政策金利を引き上げていく可能性が高い。その場合、 来年6月には政策金利も2%に到達する。 来年4月に控える食料の消費税率の引き下げなどでインフレ率が2 %を下回っていれば、実質金利がプラス圏に浮上し、 円高圧力が加わり始める可能性がある。
もっとも、インフレ率が実際に低下するかは予断を許さない。 帝国データバンクの調査によれば、 食品主要195社の値上げ要因は多岐にわたり、 値上げした品目の91.3%は原材料高、 人件費の上昇によるものも半数を超えている。 日本のインフレの起点は円安による輸入物価の上昇だったが、 今や値上げの要因は多方面に波及しており、 消費税率の引き下げ後も食料価格が下落するとは限らない。 市場も四半期毎の利上げには懐疑的で、 OIS市場が織り込む利上げの度合いは、 目標達成の判断が示されたにもかかわらず9月末より低下している 。日銀自身が利上げを躊躇する可能性も低くない。 10月短観の全規模・ 全産業の想定為替レートは154円台であり、 これを超えて円高が進めば企業業績の下方修正を通じて株価の下押 し要因となるうえ、 外貨建て金融資産を積み増した家計にも評価損をもたらす。 円高になるほど日銀も利上げを踏みとどまる可能性がある。 それでも2%までの引き上げ方針を堅持し、 市場がそれを意識すれば、 ドル円は150円を割り込んでいく可能性が高まる。 ここからの相場は、 日銀の動向が極めて重要となる局面に入りつつある。
来週の米中間選挙は、 上下両院ともに共和党が過半数議席を失うとの見方が市場のコンセ ンサスである。この場合、 税制や歳出をめぐる大型法案は通りにくくなり、 政策が突然変わるリスクが低下する点は金融市場にとってプラスと 評価できる。一方、 トランプ大統領は大統領権限で実行できる外交や安全保障に傾注す る可能性が高く、そこで生じる混乱は逆風となるかもしれない。 警戒すべきは財政協議、 中でも政府債務の上限を巡る対立の激化である。 2011年に米国をAAAから格下げしたS&Pは、 財政赤字に加え、 債務上限の引き上げを駆け引きに使う政治状況も理由に挙げていた 。来年に向けたリスクシナリオとして、 格下げリスクとそれに伴う「悪い金利上昇」 がドル安を招く流れも頭の片隅に置く必要がある。
来週は週末の雇用統計を筆頭に米国の経済指標が目白押しとなる。 景気は底堅さを保っており、よほど極端な上振れ、 下振れとならない限り、 12月利上げとのコンセンサスは変わらないだろう。 注意すべきは株式相場の動向である。 今週は一部のハイテク企業の決算を受け、 ナスダック総合株価指数やSOX株価指数などが大きく窓を開けて 下落したまま越週した。 米国の個人消費は高所得者層の資産効果に支えられている面が強い だけに、 株式相場の調整局面入りは米経済にとって最大のリスク要因と言え る。中間選挙自体は波乱なく通過すると思われるが、その後、 トランプ大統領はイランに対する攻撃拡大を示唆している。 足元の株安に原油価格の上昇も加われば、 市場もかなりリスク回避に傾斜しかねない。 レバレッジドファンド勢が若干の円ショートを残しておりやや円買 いが予想されるが、原油価格の上昇はドル高に作用する。 この点も考慮すれば、 来週のドル円は156円台から158円程度で推移すると考えられ る。なお、フランスをめぐる混乱も鎮静化したとは言え、 暴徒化したデモは続き、議会の予算審議も進んでいない。 ユーロ安の再燃には引き続き注意が必要である。
FOMCは2名の反対が出たものの、
日銀も予想通り据え置きを決めたが、「
もっとも、インフレ率が実際に低下するかは予断を許さない。
来週の米中間選挙は、
来週は週末の雇用統計を筆頭に米国の経済指標が目白押しとなる。
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