金融引き締め策は現在、3つのペースで動いている。最も高いペースで動いているのはイングランド銀行で、木曜日の金融政策委員会では9人の委員のうち4人が追加的な利上げに賛成したため、0.5%の引き上げはかろうじて回避したものの、2会合連続で0.25%主要金利を引き上げた。
2番目に引き締めペースが早いのは米連邦準備制度理事会(FRB)で、資産買い入れプログラムを終了し、今年後半には満期を迎えた債券の再投資を停止する予定であり、来月から利上げを開始すると公約している。
ECBのラガルド総裁はインフレ対策への頑なな抵抗をついに改め、おそらく今年中にも利上げを実施する可能性があることを示唆 した。
その一方で、インフレは進行している。英国では、12月にインフレ率は前年比5.4%に達し、過去30年近くで最も高い水準となった。足元、イングランド銀行は4月に7.25%のピークに達すると予測している。中央銀行はまた、来月から債券ポートフォリオの売却を開始し、保有する8750億ポンド(1兆1800億米ドル)の一部の再投資を停止すると発表した。
ユーロ圏の1月のインフレ率は前年同月比5.1%となり、前月の5%と比較して過去最高となり、1月のコンセンサス予測は4.4%であった。ラガルド総裁は、木曜日の政策会議後の記者会見で、インフレ・リスクを意識していることを認めた。
「12月の予想と比較すると、インフレ見通しに対するリスクは、特に短期的には悪化している。物価上昇圧力が予想以上の賃金上昇につながったり、経済がより早くフル稼働に戻ったりすれば、インフレ率はより高くなる可能性がある」と警戒する。
ハーバード大学の経済学者Larry Summers氏が先週、再びインフレに関する警告を発し、FRBの物価上昇に対するスタンスを賞賛したが、まだ引き締めペースは遅すぎると批判している。The Harvard Gazetteとの質疑応答で同氏は次のように述べている。
「インフレに関して明確かつ強力になるのが遅れれば遅れるほど、金融システムからインフレを解消させるのにコストがかかるだろう。遅れればそれだけ、インフレ率の上昇に対処しなければならないかもしれないし、遅れるほどインフレ期待の定着に対処しなければならないかもしれない。」
同氏によれば、0.25%の利上げでは十分ではない。現在の状況は前例がなく、どうすれば良いのか正確にはわからないとしながらも、「歴史的にインフレを有意に抑えるためには、数百bps(数%ポイント)の金利引き上げが必要だった」と注意を促す。
FRB高官は0.5%の利上げに反対
一方、FRB政策担当者は、3月に0.5%の利上げを行うとの噂を鎮めるのに躍起になっている。フィラデルフィア連銀のPatrick Harker総裁は、50bps(0.5%)の引き上げが必要だとは確信していないと牽制する。そのような大幅な引き上げを正当化するには、「現在からかなり大幅なインフレ率の上昇」が必要だとブルームバーグ・テレビで述べた。
サンフランシスコ連銀のMary Daly総裁は、3月に0.25%の引き上げを支持するが、その後の措置は経済データの内容を精査する必要があると述べた。彼女は米国経済の脱線を避けるため、緩やかな引き締めペースを支持している。
アトランタ連銀のRaphael Bostic総裁は、0.5%の利上げもあり得るとの発言をすぐに撤回し、「次回会合での政策行動の望ましい設定」ではないと改めた。同総裁はYahoo Financeとのインタビューで、今年中に0.25%の引き上げを3回行うことを基本方針としていると述べた。
木曜日に発表される1月の消費者物価指数の中央値予測はの前年比7.3%、食品とエネルギー・コストを除くコアCPIはまだ5.9%と頭打ちのため、政策担当者らは態度を変える可能性がある。
パウエル議長の2期目指名とLael Brainard副議長の昇格について2月15日まで上院銀行委員会は投票しないため、ワシントンの理事会メンバーではMichelle Bowman氏だけが今週演説する予定となっている。
同委員会のSherrod Brown委員長は、同日に3人の新理事候補の投票も予定しているが、委員会で否決された場合は、上院本会議で承認される必要がある。