ここ数週間、米国の大手企業が好調な業績を発表したことで、投資家の関心は、地政学的リスクやインフレ動向など最大の懸念材料となる不安定なマクロ経済環境に向けられていった。
先週木曜日に発表された、1月の消費者物価指数(CPI)が1982年2月以来の高水準で上昇したことで、FRBによる積極的な金融引き締めが懸念され、市場は再び売り圧力にさらされた。
物価が高騰する中、米国政府は「ロシアがまもなくウクライナに侵攻する可能性がある」と警告したことで、東欧の地政学的リスクの悪化も投資家を不安にさせた。米国と英国は、自国民にウクライナからできるだけ早期に退去するよう呼びかけている。
このように株価が乱高下する中、今週予定されている3社の重要な決算発表にも注目している。これらの発表は、オミクロンの感染波が弱まっているときに、企業が今後数ヶ月をどのようにみているかを示す手がかりとなるだろう。
1. NVIDIA
半導体大手のNVIDIA (NASDAQ:NVDA) は、2月16日(水)の市場取引終了後に2022年度第4四半期の業績を発表する。アナリストは売上は74.1億ドル、1株あたり利益(EPS)は1.22ドルになると予想している。
同社はカリフォルニア州サンタクララに本社を置く半導体メーカーで、パソコンやゲームに使用されるグラフィック・チップ製造の最大手だ。ここ数年、NVDAは自社の技術を人工知能市場に適合させることに成功し、数十億ドル規模の新たな事業を生み出している。
これらの分野からの需要の高まりにより、NVDAの株価は急上昇し、過去2年間で200%以上の上昇を記録し、世界最大のハイテク企業の一つとなった。しかし今年に入ってからは、金利上昇への懸念から投資家がグロース株を売却し始めたため、株価は上昇の勢いを維持できなかった。
先週金曜日の終値は239.49ドルで、市場全体が売られる中、同社も7%以上の下落となった。
2. Cisco Systems
Cisco (NASDAQ:CSCO)は今週水曜日の市場終了後、2022年度第2四半期の企業決算を発表する。アナリストのコンセンサス予想によると、126.6億ドルの売上、1株当たり0.81ドルの利益を報告することになるだろう。
最高経営責任者(CEO)の Chuck Robbins氏のもと、インターネット上で提供されるネットワーク・サービスのプロバイダーとして、またソフトウェアの販売者として同社は生まれ変わろうとしているサブスクリプションからの売上は、2025年度までに総収益の50%に達すると、同社は昨年9月にアナリストに対して語っている。
刷新されたビジネス・ユニットの構成には、ネットワーク・ユニット、光ネットワークや5G関連製品を包括する未来型インターネット、Webexなどのコラボレーション・ツールを含むハイブリット・ワーク対応事業が含まれる。
先週金曜日の株価は53.90ドルで、今年に入ってから約15%下落している。
3. Airbnb
滞在・体験型旅行サービスプラットフォームのAirbnb (NASDAQ:ABNB)は、2月15日(火)の市場終了後に2021年第4四半期の業績を発表する。アナリストは同期間の売上高14億6,000万ドル、1株当たり0.044ドルの利益を予想している。
サンフランシスコを拠点とするAirbnbは、パンデミックによる旅行の低迷を、ライバル企業よりもはるかにうまく乗り切ってきた。人々は自宅近くでの旅行を楽しんだり、勤務先の柔軟なリモート・ワーク制度を活用して、長期滞在型の宿泊をより頻繁に利用することができるようになったからである。昨年9月、Airbnbは10億人目のゲストを迎えたことを発表した。
コロナ感染者数の増加が緩やかになったことを受けて世界的に旅行規制が緩和されていることから、今春および今夏に向けて、Airbnbがより明るい見通しを示す可能性が高まっている。Airbnbの株価は金曜日に166.53ドルで終了し、今年に入ってから横ばいで推移している。