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FEDウォッチ:金融引き締めに慎重な姿勢を貫く政策担当者たち

発行済 2022-02-21 23:46

連邦準備制度理事会(FRB)の政策立案者は極度の頑固者だ。間違いを認めなくても、後になってから「おっと、ごめんごめん、全然わからなかったんだ」ととぼければ良いのだから。

インフレが一過性のものではないことは、今や誰もが知っている。FRBのパウエル議長は、インフレと戦うために必要な手段があると自慢していたが、それを行使するにはやたらと時間がかかる。その理由は連邦公開市場委員会(FOMC)の賢人たちのみぞ知る。

利上げ:前倒しかゆっくりと緩やかにか

ニューヨーク連銀John Williams総裁 は、3月中旬の委員会で0.25%以上の利上げを行うという市場の期待を抑えようとしていた一人であった。

「個人的には、最初に大きな一歩を踏み出すための説得力のある議論は見当たらない」と、FOMC副議長で常任投票権を持つ同総裁は先週、ニュージャージー・シティ大学のイベントで発言している。もし7.5%のインフレがそうでないとしたら、彼は何を説得力があると考えるのか、ぜひとも聞いてみたいところだ。

イエレン現財務長官がFRB総裁だった頃にサンフランシスコ連銀のチーフ・エコノミストであったWilliams総裁にとっては、FRBが利上げ路線で「着実に動いている」とみられれば十分なのだろう。

FOMCのもう一人の注目すべきハト派であるLael Brainard理事は、3月から「一連の利上げを開始する」との考えを示した。

先週発表された1月のFOMC議事録によると、政策委員の多くは、3月に0.5%といった思い切った利上げに踏み切れば、経済の息の根を止めてしまうのではないかと、まだ懸念しているようである。

株式市場の投資家は、これは3月の利上げが0.25%に留まることを意味すると解釈し、安堵のため息をついたが、Williams総裁とBrainard理事の発言はそれを裏付けるものであった。

一方で、セントルイス連銀総裁James Bullard総裁も先週、コロンビア大学でのパネル・ディスカッションで、インフレ抑制のための利上げを「前倒し」するよう呼びかけ、金利に関する行動をより大胆に、より迅速にする必要があると警告している。CNBCは彼の発言を伝えた。

「私たちは今、この一世代で最もコントロール不能になる危険性に晒されている。一つのシナリオは...今すぐには予想できないような新しいサプライズが襲ってきて、さらにインフレが進むことだろう。そういう事態が起きないように...したいものだ。」

元PIMCO共同CEOで、現在はPIMCOの親会社Allianzの首席経済アドバイザーを務めるMohamed El-Erian氏も、Yahoo Finance Liveに出演し、FRBの行動が遅すぎたと懸念を示した。

「私たちが懸念しているのは、FRBの行動が遅れることによって、経済成長にも影響が及ぶということだ。つまり企業収益がより不安定になるということである。だから今は非常にデリケートな時期なのである。まだこれを正しく行うための方法はある。しかし残念ながら、その方法は取られないかもしれない。」

FRBが計画している量的引き締め、つまり満期を迎えた債券の償還金を再投資しないことで債券ポートフォリオの縮小を始めることに同氏は注目している。しかしFRBが今月も新たな債券を購入し、さらに数カ月間、肥大化したバランス・シートを維持することで、その影響はより深刻になる可能性があると述べている。

先週発表された1月の米国生産者物価指数は前年比9.7%増となり、エコノミストが予想した9.1%を大幅に上回った。この卸売物価指数は一般的に小売価格に反映されるため、今後数週間のインフレ・データにとって良い兆候とはいえない。

個人消費支出価格指数は、FRBの政策立案者にとって主要なデータの一つと広くみられているが、今週末の発表では、変動しやすい食品とエネルギー・コストを除外した場合でも、1月の前年比が5.2%上昇すると予想されている。消費者(および投資家)にとって最も身近なヘッドラインとなる消費者物価指数は、翌週のFOMCを控え、3月10日に2月の測定値が発表される予定だ。

FRB理事の選任を巡るドラマは続く

先週は、バイデン大統領がFRB理事に指名した人物についても、いくつかの新展開があった。上院銀行委員会では、委員長のオハイオ州選出のSherrod Brown氏が5人の候補者全員を一度に採決するよう主張したため、共和党が採決を ボイコットした。このボイコットにより、委員会の活動(定足数を満たすには少なくとも1人の共和党員が出席する必要がある)が事実上妨害され、すべての指名が延期された。

ペンシルベニア州のPat Toomey議員を中心とする共和党議員は、Sarah Bloom Raskin氏が過去に化石燃料企業への資本参加を拒否するよう銀行に強制する発言をしたことから、規制担当副議長への就任に異論を唱えている。また、彼女が役員を務めるフィンテック企業に、FRBの垂涎のマスター・アカウントを取得させるために介入したことについての説明にも問題があると指摘した。(そのようなアカウントを取得した唯一のノンバンクのフィンテック企業であった)。

カンザスシティ連銀の関係者は、Raskin氏が同行のEsther George総裁に電話をかけた後、最初のマスター・アカウント取得に対する拒絶を撤回したが、Raskin氏の介入はその決定に影響を及ぼさなかったと否定している。この否定が懐疑的に受け止められているのは、政策担当者による株式売買の疑惑でFRBの信用が失墜していることの表れだろう。

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