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5月の市場振り返り:不安で満たされた1ヶ月となったが、投資家はまだ大きなリスクに直面

発行済 2022-06-01 20:49
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5月20日の午後の早い時間に、S&P500は3810.21をつけ、1月につけた日中のピークから21%近くも下落したほか、幅広い市場インデックスには下押し圧力がかかった。直近の高値から20%下落することが一般的な弱気相場の定義とされている。

このニュースは、長期投資家にとっては、コロナ禍発生前の2年前を思い起こさせるものであった。当時、株価指数は2カ月足らずで35%下落した。

幸いなことに、5月20日の安値からは大きく反発し、その翌週も続伸した。この反発でS&P500とNASDAQ総合指数は7週間、ダウ工業株30種平均は8週間の下落から反発した。

しかし、メモリアル・デーの祝日が終わると、回復基調は続かず、5月の最終取引日である火曜日の米国株式市場は下落して引けた。S&P500はこの日0.63%、ダウは0.67%それぞれ低下した。両指数とも横ばいで1カ月を終えた。

COMPQ 5時間チャート

ハイテク企業の多いナスダックはこの日0.4%下落し、5月月初来2%、年初来22.8%それぞれ低下している。

この先どうなるかは誰にも分からない。警戒と様子見が重要だ。

2022年が始まって以来、S&Pとダウは5カ月中3カ月で下落した。NASDAQは5カ月中4カ月下げている。3つの指数とも、これまでのところ、4月が最悪の月となっている。

2020年はコロナ禍が唯一の悪材料であったが、2022年の市場を圧迫する要因はより多様で複雑である。リスク要因には下記のものが挙げられる。

  • パンデミックに対する米国内外での継続的な混乱

  • 1980年代以来最悪のインフレ率の高騰と物価上昇を抑制するための連邦準備制度の金融引き締め策

  • ウクライナとロシアの間で続く戦争

  • 米国における政治的緊張

  • 買われ過ぎた株式市場

すべてのは相互に関連

コロナウイルスは非常に狡猾な敵で、容易に新しい亜種へと変異し、世界中で感染者数を増やしている。5月には、中国が上海をはじめとする多くの都市を封鎖した。唯一の朗報は、このウイルスについてより多くのことが明らかになったことだ。

それでも入院患者数は増加しており、屋内の公共スペースでのマスク着用が改めて求められているが、コロナウイルスの感染による死亡者数は緩やかになってきている。

とはいえ、インフレ問題もコロナ禍に端を発している。また世界のサプライ・チェーンが混乱し、A地点からB地点に物資を送るのに時間とコストがかかるようになった。経済活動の再開は困難を伴うとみられる。

さらに、原油価格が上昇し、2月下旬にロシアがウクライナに侵攻すると、上昇ペースは更に加速した。

ベンチマークである米国産原油であるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は10%上昇した。世界の指標であるブレント原油は13%近く上昇した。どちらも1バレル115ドル前後で5月の月初を終えた。米国自動車協会が発表した日次燃料計によると、米国のガソリン小売価格は2022年に41%近く上昇している。

FRBはインフレ対策に着手するのが遅すぎたという見方が強い。2年近くゼロ金利政策を続けたため、家具から暗号資産に至るまで、あらゆるものに狂喜乱舞するような買いが入った。

FRBは利上げを開始し、現在少なくともあと2回は金利を引き上げると予想されている。住宅ローン業者への米国内最大の資本供給者の一つであるフレディ・マックによると、貸し手は30年固定金利住宅ローン金利を昨年8月の2.7%から足元は約5.1%に押し上げている

同様に重要なのは、FRBが保有する膨大な量の米国債の再投資を中断することだ。これもまた、金利を押し上げる圧力となる(パンデミック時に始まったFRBによる米国債の購入によって、市場にはより多くの現金が流入した)。

一方、ロシアのウクライナ侵攻は、東欧で数百万人のウクライナ人が国外に脱出することによる人道的危機を引き起こした。また、ロシアとウクライナはともに主要な農業生産国であるため、世界の農業市場に混乱をもたらし、紛争の影響で小麦、ひまわりの種、関連商品の供給が滞ったという2つの問題を引き起こした。

その結果は、どのスーパーマーケットでもみることができる。新生児を持つ母親たちに、粉ミルクを探すのがどれだけ大変か尋ねてみてほしい。

今秋、米国では中間選挙が行われるが、政治的緊張が高まる可能性がある。

2020年の世界経済浮揚のための利下げは、株式、暗号資産、住宅、家具、美術品などへの投機も引き起こし、最終的多くのものが買われすぎの状態に陥った。

FRBが利上げ計画を明らかにしたことで、こうした市場の下支えがなくなった。

5月の株式市場の振り返り:下落銘柄を分析

ウォルマート(NYSE:WMT)は5月に15.9%下落し、同月のダウ銘柄の中で最も弱いパフォーマンスとなった。この巨大ディスカウントストアの株価は、今年に入ってから11.1%下落している。

TGT 5時間チャート

ライバルのターゲット (NYSE:TGT) は、輸送コストの高騰と在庫の増大で株価は29.2%急落した。アマゾン(NASDAQ:AMZN)は16.7%下落している。

テスラ (NASDAQ:TSLA) は、CEOのイーロン・マスク氏がツイッター (NYSE:TWTR) の買収を進めて物議を醸し、同氏が提示した金額が高すぎたという懐疑的な見方から月次で12.9%の下落を記録した。株価は今年に入ってから30%下落している。(Twitterは直近19.2%下落し、不透明感から2022年年初来で8.4%下落している)。

Facebookの親会社であるMeta Platforms (NASDAQ:FB)の5月の下落率は3.4%と控えめであった。これはソーシャル・メディアの巨人にとって良いニュースだ。株価は4月に10%下落し、2022年年初来の下落率は42%である。2021年9月1日につけた最高値である384.33ドルから50%近く下がっている。(Metaのティッカー・シンボルは、6月9日のマーケットオープン前にMETAに変更される予定だ)。

新興企業や新規株式公開は減少した。IPOを追跡調査するRenaissance Capitalによると、5月に値付けされたIPOはわずか8件で、前年同期の23件から減少した。2022年年初来のIPOは34件にとどまり、昨年から80%近く減少している。その大きな理由の一つは、投資家が収益への道筋がほとんどない企業への投資に興味を示さなくなっていることだ。

テクノロジーに特化した上場投資信託も苦戦を強いられた。このETFの筆頭は、Cathie Wood氏が運用するARK Innovation (NYSE:ARKK) で、彼女は破壊的イノベーターと呼ばれる企業を探し出すことを使命としている。

ARKK 5時間チャート

当ETFの最大の持ち株はテスラで、テレビ・ストリーミング会社のRoku (NASDAQ:ROKU)と暗号取引所のCoinbase Global (NASDAQ:COIN) にも大きなポジションを保有している。

ARKは、5月5.5%、当四半期は約33%、年初来で54%それぞれ低下している。2021年6月30日につけた132.50ドルのピークから67%値下がりしている。

ARKの苦境は、よりリスクの高い、株式や暗号資産投資に傾倒したことが原因だ。

ビットコインは17.2%下落し、31,757ドルで5月の月を終えた。しかし、5月26日につけた安値28,158ドル(当時の下落率は26.5%)からは大きく回復している。この主要な暗号資産は、今年に入ってからも31%、昨年11月のピークからは54%それぞれ下落している。

上昇銘柄:ハイテク株にあらず

しかし5月は悪いことばかりではなかった。5月最後の取引週は、S&P500とダウが2020年11月以来最大の週次上昇を記録した。NASDAQは8.2%の上昇で、3月中旬以来の高水準となった。

5月の勝者はエネルギー企業が中心だったが、化学メーカー、公益事業、情報技術も含まれている。

ALB 5時間チャート

電池に使われるリチウムを生産する特殊化学メーカーのアルベマール(NYSE:ALB)がS&P500銘柄のトップ・パフォーマーとなり、5月に約35%上昇した。2位は石油・天然ガス生産を手掛けるデボン・エナジー(NYSE:DVN)で、28.8%上昇した。S&Pのトップ10に入った石油・天然ガス企業5社の中で同社が首位だった。

ダウ銘柄では石油大手シェブロン(NYSE:CVX)が11.5%高でトップ・パフォーマーだった。

原油は月次で+10.8%、年初来では+48.9%それぞれ上昇となった。原油価格に連動するETFであるUSオイルファンド(NYSE:USO)も10.8%上昇し、今年は足元までで55%上昇している。

原油価格を押し上げる要因としては、パンデミックによる生産停止からの復旧に苦労していることが挙げられる。また、米国の独立系石油・天然ガス生産会社の多くが、生産量を増やさず利益を上げることで投資家を喜ばせようとしていることだ。

もちろん、より大きな問題は、西側諸国がロシア産原油と天然ガスの輸入を停止していることだ。

市場は反発したか

先週の大幅な反発で、CNBCのジム・クレイマー氏やテクニカル・アナリストのラリー・ウィリアムズ氏など多くの投資家や評論家は、株価が底を打ち、12月にかけて強く反発することを示唆する市場チャートであると考えているようであった。経済が強くなる、と彼らは主張している。労働市場は、悪化の兆しはほとんどない、と彼らは言う。

このような見方は正しいかもしれない。しかし、市場にはさまざまな強い逆風が残っている。

前述したように、まずFRBの動きに注目するべきだ。FRBは依然として高止まりしているインフレを冷やすため、景気を悪化さない程度に緩やかながら金利を上げることを望んでいるが、すでに金利上昇によって住宅購入が抑制され始めている兆しがある。

さらに、コロナ禍に関する心配もある。さらに、ウクライナとロシアの紛争は、より大きな火種となる可能性もある。

最後に株式市場は、回復の兆しをみせていない。S&P500、ダウ、NASDAQの相対力指数(RSI)をみてほしい。RSIは値動きの速さ、遅さを測る指標である。2009年3月、3つの指数のRSIがそれぞれ30を下回ると、市場は底を打った。また2008年の相場崩壊を前に、その1年前には市場の高揚感からRSIの値が70を大きく超えていた。

2021年11月にRSI値は70を超え、FRBがインフレに対してよりタカ派的な考えを発表すると、すぐに低下した。今回の5月売りでは、S&P500が弱気相場に陥るかにみえた5月20日になっても、指数は30を上回ったままであった。

本当の反発を望むなら、まず大暴落が必要だと、古参の相場師はいうだろう。おそらく5月20日にそれが起こったのかもしれない。もしくは、今後さらなる暴落があるのかもしれない。

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