歴史的利上げでも円安進行 ― 浮き彫りとなった実質金利の低さ

発行済 2025-12-22 19:04
12月15〜19日の週、為替市場では日銀の歴史的利上げにもかかわらず円安が進行した。日銀は政策金利を0.25ポイント引き上げ、0.75%としたが、植田総裁の会見中から円売りが強まり、ドル円は一時157円台まで上昇した。今回の利上げが円高につながらなかった背景には、市場がすでに9割程度織り込み済みだったことに加え、実質金利が依然として深いマイナス圏にあること、さらに中立金利や長期金利に関する新たな材料に乏しかったことが挙げられる。
 
現在の政策金利0.75%からインフレ率(約2.9%)を差し引いた実質政策金利はマイナス2.15%と、主要通貨の中でも際立って低い水準にある。植田総裁が中立金利(景気を過熱も抑制もしない金利水準)の引き上げに言及しなかったことも、円高圧力を欠いた一因とされた。日本の中立金利はおおむね1〜2.5%と推定されており、今回の利上げで政策金利はその下限に近づいたとみられている。市場では、追加利上げ余地は0.25〜0.5ポイント程度にとどまるとの見方が強い。
 
また、植田総裁が「長期金利の上昇を容認する構え」を示したことも円安を助長した。現在の長期金利上昇は、潜在成長率の改善期待ではなくタームプレミアム(国債の価格変動リスクに対する上乗せ利回り)の拡大による“悪い金利上昇”とみなされており、円売り要因となった。タームプレミアムは政府債務の拡大と正の相関、日銀の国債保有残高と負の相関を持つとされ、量的正常化の進展が円安圧力を強めている。
 
通貨全体でみると、2025年はドル安傾向であったが円の弱さも際立った年となった
 
今後、円相場が反転するには、実質金利の上昇と中立金利の引き上げが必要だ。日銀が物価動向に遅れずに利上げを進め、タームプレミアムの拡大を抑制できるかも焦点となる。ただし0.75%という政策金利の水準は約30年ぶりの高金利であり、追加利上げはその影響を見極めた後と考えられ、早くても2026年半ば以降とみられる。当面、円安への警戒が必要となりそうだ。
 
詳細は以下の動画をご覧ください。

 

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2026 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます