フランス起点の円高の持続性

10月19日週のドル円は、週後半にかけて軟化した。22日以降、フランスの長期金利の対独スプレッドが大幅に拡大し、ユーロ円が下落するとドル円も連れ安となった。米国の長期金利が大幅に低下したことからドルも総じて軟調に推移した。もっとも、各国の長期国債の価格の変化率をみると、フランス債が大幅に下落した一方、主要国の中では米国債が最も上昇している。その裏返しとして長期金利が低下したのであり、今週のドル安は米国にとって必ずしもネガティブな動きではない。

投機筋の円の持ち高をみると、レバレッジドファンド勢の円ショートは10月13日時点の約3万枚から20日時点で約2.3万枚まで縮小した。ユーロ円の下落を受けて円の買い戻しが続いていると考えられるが、買い戻しが一巡した後も円買いが続くかは疑問である。2年物国債の利回りでみた米国、英国、ユーロ圏(ドイツ)との金利差は、いずれも年初より拡大している。また、円安の主因と考えられる日本の短期の実質金利も依然としてマイナス圏にある。9月の消費者物価指数は前月から伸びが拡大しており、原油高の影響でインフレ率も上昇すると見込まれる。利上げが続く中でも実質金利のマイナス幅の縮小までは見通しにくい。

来週も引き続きユーロ円の続落に要注意である。ドル円が162円目前で続伸を阻まれた2024年の夏場、ユーロ円も175円近辺でいったん上値を抑え込まれて反落した。その後、昨年秋の高市政権発足前後でこの175円を上抜けした結果、上昇が勢いづいた経緯がある。反対に175円を割り込んだ場合はやや下落が加速するおそれがあり、その影響はドル円にも及ぶだろう。フランスでは暴徒化したデモの収束が見えず、議会での予算審議も難航必至である。もっとも、イタリアおよびスペインの対独スプレッドは拡大傾向にあるものの水準はまだ低位にとどまり、周辺国への波及は現時点では限定的だ。このため175円を割り込んだ場合も、1〜2円下がったところで下げ渋る可能性は十分にある。

来週はFOMC、ECB理事会、日銀の金融政策決定会合が続くが、いずれも据え置きだろう。米国については7-9月期の共通期待インフレ指数が前期からやや低下しており、追加利上げを視野に入れつつも10月はいったん様子見となろう。市場も据え置きを見込んでおり、波乱なく通過すると考えられる。

ユーロ円が175円を割り込めば、ドル円も155円台まで連れ安となりそうだ。ドルは堅調な米国債に下押しされるものの、原油高とユーロ安を支えに底堅さを維持しよう。VIX指数も19台とやや高く、円の買い戻しも続くとみられるため、ドルと円がともに底堅く、相対的にクロス円の下げ幅が広がると考えられる。一方、日銀会合には警戒が必要だ。据え置きが見込まれるものの、次回会合で基調物価が目標に到達したとの判断が示されれば、四半期毎の利上げが当面続くとの見方が強まりそうである。市場は6月末までに2.3回の利上げしか織り込んでおらず、「目標到達」との判断が示されれば、6月までの3回の追加利上げを織り込むとみられ、その過程でドル円が155円を割り込む可能性がある。判断を先送りする場合は、波乱なく通過すると考えられる。

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