マーケットvsファンダメンタルズ:
以前、私は、通貨はその国の株価ではないと述べたことがあるが、今日の動きがこのことを証明した。全てのファンダメンタル的なニュースは、USDの上昇を示唆していたが、USDはほぼすべてのG10通貨に対して下落した(対JPYでは基本的に変わらず)。7月のフィラデルフィア連銀製造業指数は8.0への低下が予想されていたが、12.5から+19.8へと上昇した。これは、2011年3月以来の最高水準である。6ヵ月見通しにおける上昇も同様に著しく、雇用項目は、1984年3月以来の最高水準に達した。一方、週に1度の失業保険申請件数は、34万5千件にまで減少すると予想されていたが、さらに少ない33万4千件まで減少した。その上、米国の赤字見通しがかなり改善したことから、ムーディーズが、米国に対する見通しをネガティブから安定的に格上げした。これらすべてが、量的緩和の縮小にとって、より議論の余地のないものになるとみられることから、USDをサポートする方向に働くが、そうはならなかった。FRBのバーナンキ議長の2日目の議会証言は、おそらく金の価格について質問された時は別にして、何ら新たな実態が明かされることなく終わった。彼は「誰も金の価格を真に理解しておらず、私もそれを真に理解しているかのごとく振舞うことはない」ということを自ら認めた。
わずか1日前には最も下落した通貨となったCADが、5月の卸売売上高が2年超で最も急速に増加し、記録的水準に達したため、最も上昇した通貨となった。このことは、カナダ銀行のポロズ総裁によるどちらかと言えば景気に対する抑制された見方への反論を促した。またこれは、CADにおける木曜日の大幅な下落を受けた利食い売りを反映しているに違いないとみられることから、USD/CADの購入に当初乗り遅れた人々にとって新たな機会を提供しているに過ぎないと言うべきだろう。同中央銀行総裁の見方は、1ヵ月の指標、特に卸売水準における指標よりも重要であると考えられる。
本日、欧州または米国から発表される主な指標は見当たらない。英国では、6月の公的部門純借入額が、5月に比べ若干減少するとみられるが、ギャップを縮めるにはとても十分とは言えず、政府は、景気を浮上させるために金融政策に頼らざるを得ないだろう。カナダ銀行の主たる指標である6月のCPIは、前月比で5月の+0.2%から、-0.2%に一転すると予想される。これが、「抑制されている」とするポロズ新総裁によるインフレ見通しに対する木曜日の発言を裏付けるものとなり、これによってUSD/CADの上昇トレンドが再び始まる可能性がある。このほかには、モスクワで週末に掛けて開催されるG7財務次官・中央銀行総裁会議から何等かの新たなニュースが浮上する可能性がある。また、週末には、日本の参議院選挙が行われ、与党である自民党と、その連合が勝つと予想される。このことは、安倍首相による政治的目標の達成に功を奏し、株価は押し上げられ、その結果USD/JPYも押し上げられるだろう。唯一の問題は、勝利が広く予想されているため、このことがどの程度価格に織り込み済みであるかということである。私の見方では、G20からの日本に対する何等かの容認と安倍首相の選挙における勝利の組み合わせが、USD/JPYにとってプラスであることが明らかとなるだろう。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDでは、1.3060のサポート水準が保持され、同ペアが売られ過ぎの領域に達しているため、同ペアは上昇している。日足および4時間足における200日移動平均を再び上方突破する。レジスタンス水準は1.3200と1.3290にあり、サポートは1.3060と1.3000にある。
USD/JPY
• 安倍首相の顧問が、政府の財政状況が良くないため、消費税は「ある時点で」引き上げられるべきであるとの見解を表明した後、USD/JPYは、日本の株価と共に下落した。これは、1990年代以来周知のことであるため、市場でこのことを意外に思う者はいないだろうが、政府が必要なことを行う可能性も十分にあるという考えが、衝撃を与えるとみられる。
• USD/JPYは上昇し、その後、買われ過ぎの領域に達し、100.70のレジスタンス(トップ・ボリンジャーバンド水準)を上方突破することはできず、取引時間の早い段階で100円未満にまで暴落した。レジスタンス水準は、100.70と101.30に、サポートは99.30と98.42に現れる。
USD/CAD
• USD/CADは、200日移動平均を下方突破した後、さらに下落して、ボトム・ボリンジャーバンド水準に達した。ストキャスティックが売られ過ぎの領域にあるため、ある程度の上昇は妥当である。レジスタンスは1.0440と1.0510に、サポートは1.0330と1.0270に存在する。
金
• 金は、タイトなボリンジャーバンド領域内での取引が続いているため、上昇する。レジスタンス水準は、1300.00と1343.00で、サポートは1260.00で、その後1226.50に見出されるだろう。
原油
• WTIは、2つの重要なレジスタンス水準を突破した後、1年間の高値を更新するまで急騰し、108.40を試す。この水準を突破すれば、WTIは109.75と112.20水準に達するだろう。ストキャスティックがかなり買われ過ぎの水準にあるため、本日、戻しが生じる可能性の方が高い。サポート水準は、106.50と104.60に現れる。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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