今朝、USDはG10通貨に対して若干上昇した。中でも最も上昇したのは、対JPYであった。日本株の上昇によってUSD/JPYが上昇するのか、USD/JPYの上昇によって日本株が上昇するのか?おそらくいずれもが、明日のFRBのジャクソン・ホール氏のセミナーにおける日銀の黒田総裁による発言を期待して上昇したか、あるいは、単に、JPY建て資金調達されるキャリートレードを後押ししているとみられる本日の全般的な「リスクオン」センチメントの一部ではないだろうか。一方、7月の雇用統計が予想よりも良かった昨日の結果に対する反応が続くなか、SEKは、対USDでさらに回復した。今回のUSD高は、失業保険申請件数の4週間移動平均の持続的な低下と、FF予想レートがさらに上昇して、シクリカルな高値を更新したことを受けたものである。FRBによる量的緩和の縮小に関する直近の調査によれば、プライマリー・ディーラーは、FRBが9月に1ヵ月の資産買入額のペースを150億ドル減額して700億ドルとし、12月には450億ドルに、そして2014年6月には完全に資産買入を終了すると予想している。これは、プロの投資家が、今や量的緩和の縮小を完全に織り込んでいることを示唆している。ブルームバーグは、個人市場も、それにしたがってポジショニングしつつあるため、8月19日時点での8月の債券投資からの資金流出が既に記録史上3番目の額に達したと報じた。
しかし、昨晩の大きなニュースは、USDの明るいニュースにも拘わらず、新興市場通貨が回復したことであった。我々が追跡している15通貨のすべてが、対USDで上昇し、MXN(+2.1%)を初めとして、ZAR(+1.5%)がこれに続いた。悲惨な状況にあるIDRでさえ、1.2%上昇した。中国、ユーロ圏、米国を含む世界中の購買担当者指数の改善に関する昨日の発表が、FRBによる量的緩和縮小に伴う流動性の低下の恐れを緩和し、新興市場通貨の大量売却を抑制している可能性がある(今のところ)。
本日のデータは、ドイツおよび英国の第2四半期のGDPの詳細(通常は市場にあまり影響しない)と、米国の新築住宅販売である。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、若干低下し、1.3300(S1)の心理的水準で反発した。現在、同ペアは、1.3300(S1)と1.3400(R1)の心理的水準の間で取り引きされている。そのうちのいずれかを突破すれば、価格の次の方向性がわかるだろう。しかし、EUR/USDは、より高い高値とより高い安値を形成しつつあるため、引き続き上昇トレンドにある。これは、同ペアの為替レートが200期間移動平均を上回っていることからも確認できる。
• サポート:サポートは、1.3300(S1)の心理的水準で見出され、1.3231(S2)と1.3152(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、1.3400(R1)にあり、1.3448(R2)と1.3517(R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
USD/JPY
• USD/JPYは、昨日のセッション中上昇し、逆ヘッド・アンド・ショルダーズ・リバーサル・フォーメーションを完成させ、98.56(S1)水準を上方突破した。強気筋が、このモメンタムを維持するほど強ければ、同ペアは、心理的レジスタンス水準である100.00(R1)に向かうと予想される。一方、価格が、20期間移動平均と200期間移動平均のいずれをも上回っていることから、強気な趨勢が伺える。
• サポート:サポート水準は、98.56(S1)98.06(S2)、97.00(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は心理的水準である100(R1)に存在し、100.84(R2)と101.52(R3)がこれに続くだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは、昨日若干低下し、1.5569(S1)のサポート水準に達した。売り圧力が、買い圧力をこの水準で上回れば、価格は、上昇トレンドライン近くの1.5431(S2)に向けた上昇トレンドの調整を続けるだろう。さらに、MACDオシレーターと価格動向との間の差がマイナスであるため、同オシレーターは同ペアの弱含みを支持している。
• サポート:サポート水準は、1.5569(S1)、1.5431(S2)、1.5200(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンスは、1.5674(R1)に認められ、1.5752(R2)と1.5840(R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
金
• 金は上昇し、現在、1376(R1)のレジスタンス水準近くにある。強気筋は諦めていないようで、この水準の上方突破を再び試すとみられ、これにより金は1394(R2)のレジスタンスへと向かうだろう。この水準の突破に失敗すれば、1347(S1)に向けたリトレースメントが生じる可能性は高い。長期的(日足チャート)には、20日移動平均が、引き続き200日移動平均を下回っているため、金は依然として長期的な下落トレンドの調整局面にあると考えられる。
• サポート:サポート水準は、1347(S1)に存在し、1320(S2)と1271(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは、1376(R1)に認められ、1394(R2)と1422(R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、昨日上昇し、105.00(S1)の心理的水準まで戻した。この水準を明らかに突破すれば、同ペアは、107.53(R1)のレジスタンス水準に向けて推移する可能性があり、強気筋を鼓舞し、さらに上昇圧力が強まる可能性がある。しかし、WTIが引き続き102.62(S2)と108.85(R2)の間の取引レンジ内にあるため、より鮮明な予想図を得るためには、出口の方向性を確認する必要があるだろう。
• サポート:サポート水準は、心理的水準である105.00(S1)、102.62(S2)、100.80(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、107.53(R1)、108.85(R2)、110.40(R3)に存在する(週足チャート)。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要