昨日、米国経済に関する期待外れのニュースにも拘わらず、USDは上昇し続けた。予想を下回る先週の新築住宅販売指数を受けて、昨日の耐久財受注指数も期待外れの結果となった。航空機販売の減少を理由に指数全体が低下すると予想されていたが、輸送と軍事の数字を除いた状況でも低下しており、金利上昇の観点から米国投資の強さに疑問が投げかけられている。しかし、USDは、JPYを除く大半の通貨に対して上昇した。これはおそらく、シリアに絡む緊張の増大の観点から安全資産を求める資金の流れによるものであろう(これによって、USD/CHFが変わらずとなった理由も説明することができる)。市場ではリスク回避性向が続いているため、新興市場通貨に対しては低下圧力があり、同通貨の大半は対USDで下落した。
暗いニュースに直面したにも拘わらず、USDが見せた回復力には目を見張るものがある。市場には2つの派閥があるようだ。一つは、米国経済が改善し続けると予想しているグループで、最近の弱い指標を、通常の統計的なノイズとして片付けている。もう一つは、成長は弱々しく進行すると予想するグループで、最近のデータは、こうした見方を裏付けるものだとみている。米国の債券市場は、USDの主な決定要因であるが、この債券市場における旋回運動が、これら2つの見方の間の主導権争いを表している。米国の修正後の第2四半期のGDPが木曜日に発表されるが、この指標が、さしあたり、こうした論争の解決に役立つ可能性がある。市場は、上方修正を予想しており、米国経済に対して楽観的なグループの見解が裏付けられる可能性があり、これによってUSDは支えられる可能性がある。
8月のIfo指数が本日の主な指標である。市場は、企業景況感が、106.2から107.0へと4ヵ月連続で上昇を示すと予想している。欧州最大の経済圏におけるセンチメントの改善が、本日、EUR/USDを支持するだろう。米国では、S&P/ケース-シラー住宅価格指数が発表される。6月の結果に対する市場のコンセンサスは、前月比1.0%と、5月とほぼ同水準の結果となることを予想している。リッチモンド連銀製造業指数は、7月の-11から8月には-5まで改善したと予想される。8月のコンフェレンス・ボード消費者信頼感指数は、80.3から79.5へと若干の低下が予想される。85.1から80.0へと低下したミシガン大学消費者信頼感指数速報値よりも、下げ幅は少ないだろう。コンフェレンス・ボード指数に関しては、市場では、「職が豊富/職を得るのが困難」という指数が特に注目を集めるだろう。これにより、量的緩和の縮小を始めるかどうかに関するFOMCの決定に対して、一つの要素が加わることになるだろう。
マーケット
EUR/USD
• 昨日、EUR/USDは横ばいとなり、1.3300(S1)と1.3400(R1)の心理的水準の間に留まった。現在同ペアは、1.3400(R1)水準を下回っている。これを明らかに上方突破すれば、1.3448(R2)と1.3517(R3)水準に向けたさらなる上昇が予想される。EUR/USDは、より高い高値とより高い安値を形成しつつあり、同レートは20期間平均と200期間平均のいずれをも上回っているため、引き続き上昇トレンドにあるように見受けられる。
• サポート:サポートは、1.3300(S1)の心理的水準に見出され、1.3231(S2)と1.3152(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、1.3400(R1)に存在し、1.3448(R2)と1.3517(R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
USD/JPY
• USD/JPYは、昨晩下落し、98.56(R1)水準を下方突破し、98.06(S1)でサポートを見出した。現在同レートは、このサポート水準を試しつつあり、これを下方突破すれば、青色の上昇トレンドラインに向けて推移し、その後は97.00(S2)の心理的水準に向けて推移するだろう。売り圧力が買い圧力を上回ることができなければ、価格は、より高い安値を形成し、上昇トレンドを裏付けるとみられ、100.00(R3)水準に向けた一層の上昇拡大シナリオが再び始まるだろう。
• サポート:サポート水準は、98.06(S1)、97.00(S2)、95.77(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、98.56(R1)に存在し、99.13(R2)と心理的水準である100.00(R3)がこれに続くだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは、横ばい推移が続き、依然として1.5569(S1)のサポート水準で揉み合っている。弱気筋がこの障害をどうにか乗り越えられれば、上昇トレンドラインと1.5431(S2)サポートに向けてそれぞれ調整が続くと予想される。弱気筋がこの勝負に負ければ、同ペアは、1.5674(R1)のレジスタンス水準に向けて上昇トレンドが続くだろう。一方、MACDオシレーターは、引き続き弱気な領域に留まっている(ゼロを下回る)ため、弱含みを示唆している。
• サポート:サポート水準は、1.5569(S1)、1.5431(S2)、1.5200(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンスは、1.5674(R1)に認められ、1.5752(R2)と1.5840(R3)(日足チャート)がこれに続くだろう。
金
• 昨日、金は、若干上昇した後、若干下げて、1394(R1)水準まで戻した。これを明らかに上方突破すれば、1422(R2)水準を目指すとみられ、短期的な高値を更新するだろう。さらに、金は、20期間平均と200期間平均の両方を上回って推移していることから、投資家の強気な態度が伺える。MACDがゼロを上回る強気な領域におけるトリガー・ラインを上回ってクロスしていることから、前向きなモメンタムが伺える。
• サポート:サポート水準は、1376(S1)に存在し、1347(S2)と1320(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは1394(R1)に存在し、1422(R2)と1440(R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
原油
• WTIは下落し、金曜日の終値よりも高く始まった昨日の始値で形成されたギャップをカバーした。7月の初め以来続いている102.62(S3)と108.85(R2)の間の取引レンジ内に留まっている。どちらかの水準を明らかに突破すれば、投資家の見通しが明らかになるとみられ、新たなトレンドが明らかになった後に当社の分析を見直したい。
• サポート:サポート水準は、105.50(S1)、103.44(S2)、102.62(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、107.53(R1)、108.85(R2)、110.40(R3)に存在する(週足チャート)。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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