トレーダーの本日の焦点は、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BoE)となるだろう:昨日の取引時間中、ニュースがUSDに対して影響を及ぼすことはほとんどなく、G10各国通貨に対してほぼ一日中弱含んだ。GBPは、8月のサービス部門PMIが60.5と、予想よりも良かったことが発表されると、対USDと対EURで上昇し、主な勝者となった。
今日は、各国中央銀行の会議にとって重大な日である。日銀は、昨晩、予想通り政策を据え置くこととしたが、景況判断を「緩やかに回復しつつある」から「緩やかに回復している」へとわずかに上方修正した。本日、欧州では、スウェーデン国立銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行の会議が控えている。いずれの銀行でも、政策の変更は行われないと予想される。このため注目されるのは、会議後の声明と記者会見であり、特にBoEとECBが将来的な指針を明らかにし、市場に緩和的金融政策を維持する意向があるということを市場に確信させることができるかどうかであろう。この点に関して記者会見が成功すれば、GBPおよびEURに対してはマイナス要因となるだろう。
本日の遅い時間には、週1の失業保険申請件数が発表される予定で、33万1千人から33万人へと若干減少すると予想される一方、8月のADP雇用統計は、7月の20万人対して18万5千人になると予想される。7月の数値は、非農業部門雇用統計(NFP)における16万2千人の増加をはるかに上回っていたため、決して非農業部門雇用者数を占う上で適した指数とは言えない。直近の4ヵ月間において、ADPとNFPの間の平均格差は、4万2千人、直近の変化の26%であり、かなりの差が生じている。2001年1月以来、NFPがADPを上回ったのは81回であり、下回ったのは70回であったことから、いずれの方向にも強力なバイアスが掛かっているとは思えない。しかし、これがNFPに対して有効な現存する予想であるため、人々はこれに非常に注目している。
ついに本日、20日間のG20会議がセントペテルスベルクで始まり、世界の主要な経済圏の成長の鈍化と、長期的な成長の新たな源をいかにして見出すかが主な焦点となるだろう。デリバティブに対する規制への新たな取り組みが提示されるだろう。しかし、同会議では、シリアに関する議論が暗い影を落とす可能性が高い。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、1.3152(S1)水準でサポートを見出した後、上昇し、1.3152(S1)と1.3231(R1)水準の間に留まった。本原稿執筆現在において、同ペアは、下方への小幅な動きで1.3152(S1)のサポートへ向かっている。この水準を明らかに突破すれば、1.3077(S2)にある次のサポートを目指すだろう。20期間移動平均が200期間移動平均を下回っている上、MACDの数値が弱気な領域に留まっており、これらの数値が同ペアの弱気な趨勢を裏付けているため、EUR/USDは、この方向に動くと予想される。
•サポート:サポートは、1.3152(S1)水準に見出され、1.3077(S2)と心理的水準である1.3000(S3)がこれに続くだろう。
•レジスタンス:レジスタンス水準は、1.3231(R1)に存在し、心理的水準である1.3300(R2)と1.3400(R3)がこれに続くだろう。
USD/JPY
• USD/JPYは、チャネルの上限の傾斜を辿りつつわずかに上昇した。価格は現在、心理的に切りの良い数字である100.00(R1)を下回っており、長期的保有者がこのハードルをどうにか乗り越えることができれば、100.84(R2)のレジスタンスを目指すだろう。しかし、RSIとストキャスティック・オシレーターのいずれもが、買われ過ぎの水準近くにあるため、近い将来戻しがあったとしても不思議ではない(ただし、この数ヵ月間、USD/JPYはテクニカル的に見て買われ過ぎの領域にかなりの期間留まったことが時々あった)。より長期的な枠組み(日足チャート)では、価格は、トライアングル・フォーメーションの上限を上回っており、同ペアの強気な様相の有意性を強めている。
• サポート:サポート水準は、99.13(S1)に存在し、98.09(S2)と心理的水準である97.00(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、切りの良い数字である100.00(R1)に存在し、100.84(R2)と101.52(R3)水準がこれに続くだろう。
EUR/GBP
• EUR/GBPは引き続き下落したが、昨日は、0.8437(S1)でサポートを見出した。レートの下落傾向が続けば、このサポート水準を下方突破すると予想され、この攻防は、短期的な安値の更新へと向かうだろう。その上、MACDオシレーターが、依然として弱気な領域に留まっており、価格動向に関してマイナスのモメンタムを示している。より長期的枠組み(日足チャート)では、ヘッド・アンド・ショルダーズ・リバーサル・フォーメーションが完成しており、下落傾向が続くとする我々の予想の有意性を裏付けている。
• サポート:短期的に認められる唯一のサポート水準は、0.8437(S1)であり、0.8410(S2)と0.8363(S3)がこれに続くとみられ、いずれも日足チャートに見出される。
• レジスタンス:レジスタンスは、0.8480(R1)に見出され、0.8503(R2)と0.8545(R3)がこれに続くだろう。
金
• 金は下落し、安値を更新し、1394水準(R1)を若干下回る水準に回帰した。このことから、価格は、依然として上昇トレンドの調整局面にあると考えられる。金がさらに低下すれば、次のサポート水準である1376(S1)と1347(S2)を目指すと予想される。一方、1394(R1)水準を再び上回ってクロスした場合、調整局面の終焉に関するシナリオを適用するには、頂点が更新されるのを待つ必要があろう。
• サポート:サポート水準は、1376(S1)に存在し、1347(S2)と1320(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは、1394(R1)水準に存在し、1422(R2)と1440(R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、取引レンジの上限でレジスタンスを見出し、再び低下した。本原稿執筆現在、価格は107.53(R1)水準を試しつつあるが、横ばい推移に留まっているため、これを脱出し、新たなトレンド段階が成立するまで待つ必要があるだろう。RSIの数値とMACDの数値がいずれも中立的水準にあり、横ばい推移を裏付けているため、次の価格動向を示唆するものは見当たらない。
• サポート:サポート水準は105.50(S1)、103.44(S2)、102.62(S3)にある。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、107.53(R1)に存在し、108.85(R2)と112.14(R3)がこれに続くとみられ、これらは週足チャートに見出される。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要