ECBが、金融政策を据え置き、政策金利を歴史的低水準に据え置くと決定したことを受け、USDは全ての主要通貨に対して強含んだ。マリオ・ドラギ氏のハト派的なコメントを受け、USDは一日中上昇し続けた。市場の反応という点では、EURは、ECBの会議が始まってすぐに低下し、1時間以内に対USDで1.3150を下方突破し、米国の取引時間中に約120pip下落することとなった。
北に目を移すと、イングランド銀行(BoE)は、景気回復が強まるなか、金利を低水準で据え置くとするマーク・カーニー総裁による影響を受けており、債券買い入れプログラムと金利を据え置いた。BoEの発表中にGBPは対EURで大幅に上昇した上、ECBの記者会見中に上昇幅は拡大した結果、EUR/GBPは0.8407で安値を更新した。
この月の最大の注目数値は、米国の8月の非農業部門雇用者数であるのは確かである。市場は、前月の16万1千人に対し18万人と、雇用者数の増加を予想している。失業率は、7.4%で変わらないと予想されている。昨日の米国の雇用統計は明るい材料である。8月のADP雇用者数は、17万6千人と小幅な増加を示したが、新規失業保険申請件数は引き続き減少し、非製造業ISM指数における雇用項目は、極端に好調であった。非農業部門雇用者数が予想よりも好調であった場合、予想通り、FRBが債券買い取り額を9月に縮小し始める可能性は高まるとみられ、それによってUSDはさらに上昇する可能性がある。この点で、たとえ期待外れのレポートであったとしても、縮小幅が1ヵ月あたり200億ドルから100億ドル程度に縮まるに過ぎず、予想の範囲内である。これはUSDに対してニュートラルか、むしろ弱気材料である。
本日の「焦点」は、米国の非農業部門雇用者数(NFP)であり、その他の経済指標が、NFPほど本日の市場に影響を与えるとは思えない。本日発表予定の経済指標は、ドイツの7月の貿易収支と経常収支、英国の8月の消費者予想インフレ率と消費者予想信頼感指数である。また、英国は、7月の鉱工業生産指数と製造業生産指数も発表する予定である。最後にカナダは、8月の失業率を発表する予定で、同率は、7.2%で変わらないとみられる。
G20会議では、米国の軍隊によるシリア攻撃の可能性が、原油価格を押し上げ、世界経済に打撃を与える可能性があるため、米国のオバマ大統領は、ロシアのプーチン大統領やその他の各国首脳から圧力を受けた。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、低下し、1.3152水準(昨日のサポート)を下方突破した。本原稿執筆現在において、同ペアは、1.3077(S1)と1.3152(R1)水準の間で取り引きされており、売り圧力が続けば、レートは下方に押され、1.3077(S1)でサポートを見出すと予想される。この水準を明らかに下方突破すれば、心理的に切りの良い数字である1.3000(S2)に向けてさらに推移するだろう。MACDオシレーターが、トリガーラインを下回ってクロスし、弱気な領域にある点は注目に値し、価格動向のネガティブな様相の有意性を高めている。
• サポート:サポートは、1.3077(S1)水準に見出され、心理的水準である1.3000(S2)と1.2895(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、1.3152(R1)に存在し、1.3231(R2)と心理的水準である1.3300がこれに続くだろう。
USD/JPY
• USD/JPYは、上昇トレンドチャネルの上限に沿って推移し続け、心理的水準である100.00(R1)近くでレジスタンスを見出した後、若干低下した。長期的保有者が十分に強く、このハードルでの攻防に勝てば、彼らは次のレジスタンス水準である100.84(R2)と101.52(R3)を目指すだろう。一方、これに失敗すれば、99.13(S1)に向けて戻す可能性もある。なぜなら、RSIとMACDオシレーターが、次の期間には、買われ過ぎの水準から脱する可能性があるためである(ただし、USD/JPYはときどき、テクニカル的に買われ過ぎの領域にかなりの期間とどまることがここ数ヵ月間にはあった)。より長期的(日足チャート)には、価格は、トライアングル・フォーメーションの上限を上回っており、同ペアの強気な様相の有意性を強めている。
• サポート:サポート水準は、99.13(S1)に存在し、98.09(S2)と心理的水準である97.00(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、切りの良い数字である100.00(R1)に存在し、100.84(R2)と101.52(R3)水準がこれに続くだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは引き続き上昇し、1.5569水準を上方突破し、前回のコメントで述べた調整局面の終焉を裏付けた。現在同ペアは、1.5674(R1)のレジスタンス水準に向けて推移しており、これを明らかに突破すれば、価格は短期的な高値更新へと向かうだろう。その上、20期間移動平均が200期間移動平均を上回っており、MACDがプラスであることから、前述のシナリオに対する優位性が高まっている。
• サポート:サポート水準は、1.5569(S1)、1.5425(S2)、1.5296(S3)に認められる。
• レジスタンス:レジスタンスは、日足チャート上で、1.5674(R1)、1.5752(R2)、1.5840(R3)に見いだされる。
金
• 金は、引き続き低下し、1376水準(昨日のサポート)を下方突破した。現在、価格は、200期間移動平均を若干上回る水準にあり、引き続き下落し、トレンドラインに向かうとみられ、場合によっては1347(S1)を付ける可能性もある。しかし、金は、依然として上昇トレンドチャネルにあり、20期間移動平均が200期間移動平均を上回っていることから、この下落の動きは、価格が反転し、上昇トレンドを続ける前の調整であると考えられる。
• サポート:サポート水準は、1347(S1)に存在し、1320(S2)と1271(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは、1376(R1)水準に認められ、1394(R2)と1422(R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは再び7月の初め以来観察されている取引レンジの上限に向かった。本原稿執筆現在、価格は、108.85(R1)の上限を試しており、この水準を明らかに上方突破すれば、横ばい推移からの本当に脱出を示唆する可能性がある。しかし、RSIもMACDオシレーターも、依然としてニュートラル水準に近いところにあるため、原油の今後の動きを占うような手掛かりは見当たらない。
• サポート:サポート水準は107.53(S1)、105.50(S2)、103.44(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、108.85(R1)に存在し、週足チャートに見出される112.14(R2)と114.21(R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要