USDは、DXY指数がほぼ変わらずに推移していることから分かるとおり、G10通貨に対してこの24時間の間、かなり安定した動きをしている。昨日最大の変動幅となったのは、NOKとJPYであり、前者は、ノルウェーのCPIが予想よりも高かったことを受けて、昨日正午には急上昇し、後者は、原油が再び下落し、世界中の株式市場が反発したため、下落した。CHFも、中東における戦争の危険性が後退し、安全通貨に対するニーズが後退したため、対USD、対EURのいずれに対しても若干弱含んだ。オバマ大統領は、国際監視機関がシリアの化学兵器を譲り受けて破壊すべきだというロシアの提案を達成しようとするなか、議会に対して、シリア攻撃に関する投票を延期するよう求めたため、シリアの問題が市場を席巻している。その他のG10通貨は昨日の朝我々が書いた時点からほとんど変わっていない。
交渉が持続するなか、しばらくの間、シリアの問題は保留状態となっている。この場合、その他の事象、すなわち来週のFOMC会議、週末以降のドイツの選挙、そして、米国において10月のある時期に生じる非常に恐ろしい「財政の崖」への回帰が再び注目される可能性は高い。市場参加者は、ウォールストリートジャーナルが、FRBの7人の総裁(すなわち、FRBの総裁であり、地方連銀総裁ではない)が、7月18日以来、公のスピーチや準備された発言を何も行っていないことを指摘したことについて議論している。バーナンキ議長が、来週の会議後に記者会見を行うまでの2ヵ月間、演説も証言も何も行われないだろう。これは、少なくとも記録が始まった1996年以来、最長記録である。彼らの沈黙は、9月の会議で何が決定されるかということに関して不確かであることを示唆している可能性があるが、市場は、その他のFOMCメンバー(たとえば、投票権のないジョン・ウィリアムズの月曜日の発言)から得ている、量的緩和の縮小が実際に今月始まることを示す多くのヒントを暗に裏付けていると考え始めている。その場合、USDは、まもなく回復軌道に乗ると考えられる。これまでの回復力から、USD/JPYは、こうした動きから最大のメリットを得ると予想される。また、最近いくらか回復しているNZD/USDにおける利食い売りもある程度生じる可能性がある。
本日の焦点は、英国の8月の労働統計になるとみられ、イングランド銀行が、失業率が7.0%まで下落するまで、金利の変更を検討しないと発言した後だけに、この統計は非常に重要視されている。7月のILO失業率は、7.8%で変わらないと予想され、英国経済が、同行の予想よりも速く回復すると期待している人々を失望させる可能性がある。8月の失業保険申請件数の減少ペースは、7月の2万9200件よりも鈍化して、2万1千件の減少となることが予想される。米国では、市場参加者が、9月6日の週に、週1のMBA住宅ローン申請件数が2週間連続で増加するかどうかを見極めようとしている。前週は、+1.3%となり、4週間ぶりの増加となった。市場は、7月の企業在庫が、前月比で6月の-0.2%から+0.3%に転じると予想している。そしてオーバーナイトでは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が金利決定を行うだろう。エコノミストは、RBNZが公的金利を2.50%で据え置くと満場一致で予想しているため、焦点は、声明とその発表後の記者会見となるだろう。6月の会議後に発表された声明の中で、ウィーラー総裁は、RBNZは「年末まで」金利を据え置くことを予想しているとした。市場は、量的規制により、不動産賃貸を抑制しようとする最近の動きを受けて、彼がこの公約を維持するかどうかを見極めようとするだろう。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは引き続き上昇したが、大きな動きとはならずに、1.3239(S1)と1.3300(R1)水準の間にとどまった。強気筋が十分に強く、1.3300(R1)のハードルを乗り越えることができれば、この攻防は、次の心理的水準である1.3400(R2)に向かう可能性がある。レートは、20期間移動平均と200期間移動平均のいずれをも上回っており、MACDがプラスを示していることからも、上昇の動きが進展する可能性が伺える。
• サポート:サポートは、1.3239 (S1)水準に見出され、1.3188 (S2)と1.3134 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、心理的に切りの良い数字である1.3300(R1)と1.3400(R2)に存在し、1.3448(R3)水準がこれに続くだろう。
USD/JPY
• USD/JPYは大幅に上昇し、心理的に切りの良い数字である100.00を上方突破した。現在、同ペアは、青色のチャネルの上限のスロープに沿って100.00(S1)水準と100.84(R1)のレジスタンス水準の間で取り引きされている。ロング保有者がどうにか、100.00(S1)の大台を上回ることができれば、ターゲットは次のレジスタンス水準である100.84(R1)になると予想される。このレジスタンス水準を明らかに上方突破すれば、101.52(R2)水準に向けた動きになるだろう。MACDオシレーターは、強気な領域にあるトリガーを上回っており、上昇トレンドを裏付けている。長期的(日足チャート)には、レートは依然として、シメトリカル・トライアングルの上限を上回って推移しており、価格上昇の確実性をある程度強めている。
• サポート:サポート水準は、重要な水準である100.00(S1)に存在し、99.13(S2)と98.09(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは、100.84(R1)、101.52(R2)、102.41(R3)に見出され、このうち最後の一つは日足チャートに見出される。
GBP/USD
• GBP/USDは、アジア取引時間中、引き続き上昇したが、昨日の欧州取引時間中よりも遅いペースで上昇した。本原稿執筆現在、同ペアは、1.5752(R1)のレジスタンスを若干下回っており、これを明らかに上方突破すれば、レートは、直近では2月初めに見られた1.5840(R2)水準に向かって推移するだろう。当社の見方では、MACDの数字がプラスであり、20期間移動平均が200期間移動平均を上回っていることから、そうしたブレイクアウトの可能性はあると考えられる。
• サポート:サポート水準は、1.5674 (S1)、1.5569 (S2)、1.5425 (S3)に認められる。
• レジスタンス:レジスタンスは、1.5752 (R1)、1.5840 (R2)、1.5892 (R3)に認められ、このうち最後の二つは日足チャートに見出される。
金
• 金は、下落し続け、昨日正午には1376のサポート水準を下方突破した。アジア取引時間の午前中、価格は、200期間移動平均の数値と一致する青色の上昇トレンドラインを試していた。金がこの領域の近辺でサポートを見出せば、1376 (R1)と1394 (R2)のレジスタンス水準を試すだろう。後者の水準を明らかに上方突破すれば、8月28日以来経験してきた調整局面の終焉と、金の上昇トレンドの継続を示唆することになるだろう。また、ストキャスティック・オシレーターは、売られ過ぎの領域を脱出する準備ができているようで、上昇の動きの公算が高まっている。
• サポート:サポート水準は、1347 (S1)に存在し、1320 (S2)と1271 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスは、1376(R1)水準に認められ、1394 (R2)と1422 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは下落の動きを続け、106.71(S1)のサポート水準に達した。価格は現在、この水準を試しており、売り圧力によりこれを下方突破すれば、105.23(S2)のサポート水準に向けて動く可能性が高い。しかし、WTIが横ばい推移にとどまれば、次のトレンドを示すいかなる示唆も得られないだろう。
• サポート:サポート水準は、106.71 (S1)、105.23 (S2)、103.44 (S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、108.85(R1)に存在し、110.58 (R2)と112.14 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要