USDが、大半のG10通貨に対して、わずかに回復し始めていることを示す兆候が見受けられるなか、わずかな圧力の下、今のところ昨日のFOMC後の下落局面における最安値に近い水準に留まり続けている。量的緩和の縮小を行わないというFRBの決定は、市場にとって予想外であった。バーナンキ議長の会議後の声明が量的緩和の縮小を遅らせているようにみられたことが、USD安の原因となった。また、バーナンキ議長は、失業率の改善の大半は、雇用創出によるものであり、就労率の低下によるものではないとの見解を述べた。「量的緩和の縮小」措置がFOMCの次の会議(10月29日~30日)の主要なテーマであるなか、量的緩和の縮小を実行するためには、米国経済の持続的な改善が必要である。USDにとっては多くの変化が必要であり、USDは最近のUSDの安値を上回る必要がある。USDが長期的な安値に近付きつつあるのかどうかを見極める必要があるが、次のいくつかのセッションでは、USDに関しては全般的にネガティブな流れが続くと考えられる。私の見解では、USDはG10通貨に対してさらに下落し、次のいくつかのセッションでは、圧力に晒され続けると予想される。
GBPは対USDでの最近の上げ幅の一部を喪失したが、水曜日のFRBの決定以来、依然として1.6000水準を上回っている。昨日の弱含みは、予想外に軟調だった小売売上高(前月比0.4%の予想に対し-0.9%)によるものである。
一方、日本では、貿易赤字が、1兆1138億円との市場予想に対し、9603億円となった。その前月には、修正後で1兆279億円の赤字を示していた。貿易データの改善にも拘わらず、USDは対JPYで終日上昇した。
本日遅くには、欧州で、9月のユーロ圏消費者信頼感指数が発表され、前月の-15.6から-14.5に改善すると予想される。セントルイス連銀総裁のジェームズ・ブラードは、景気とニューヨークの金融政策に関して演説を行う。彼が、毎月の債券買取プログラムを据え置くというFRBの決定に関してどのような発言を行うかが注目される。カナダ銀行のコアCPIは、前月の前月比変わらずの数値に対し、8月は前月比0.2%の上昇を示すと予想される。これにより8月の前年比は、1.4%から1.3%へと若干低下するだろう。ドイツの連邦選挙は、今週末日曜日に行われる。メルケル女氏がもう4年間の首相任期を勝ち取る可能性は非常に高い。そういう結果になれば、EURは支持されるとみられるが、この点はかなり市場に織り込み済みであると考えられる。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは昨日横ばいとなり、先のラリーを休止する格好となった。欧州の午前中には、同ペアが1.3517(S1)と1.3564(R1)水準の間に留まった。ロング派によってここから押し上げられれば、2月の高値である1.3706(R2)へと向かうだろう。もう一つのシナリオでは、レートが上昇トレンドラインから大きく離れている上、RSIがおそらく買われ過ぎの領域から脱出しようとしているとみられることから、トレンドラインに向けた短期的な調整が生じる可能性はある。
• サポートは、1.3517 (S1)水準に存在し、1.3448 (S2)と1.3400 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス水準は、1.3564 (R1)に存在し、1.3706 (R2)と1.3846 (R3)がこれに続くだろう。後者2つは日足チャートに見出される。
USD/JPY
• USD/JPYは、昨日のセッション中、わずかに上昇し、水曜日の損失を取り戻した。同ペアは、青色の右肩上がりのチャネルにどうにか回帰し、20期間移動平均は、200期間移動平均でサポートを見出した。本原稿執筆現在、レートは、99.13(S1)水準を上回っており、衝撃波の持続が、再び心理的水準である100.00(R1)を試すだろう。しかし、オーバーナイトセッションにおいて、同ペアは、先の調整局面の61.8%リトレースメント水準でレジスタンスを見出し、私の見方では、前述のシナリオを確認するためには、この水準を上方突破するのを待つ必要があると考えられる。
• サポート水準は、99.13 (S1)に存在し、97.86 (S2)と97.00 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、心理的に切りの良い数字である100.00(R1)に見出され、100.59 (R2)と101.53 (R3)がこれに続くだろう。
EUR/GBP
• EUR/GBPは顕著に上昇し、0.8423水準(昨日のレジスタンス)を突破した。以前コメントしたとおり、MACDのプラスの数値を伴ったこの水準の明らかな突破は、新たな調整局面の始まりかもしれない。現在、同ペアは、依然として下落トレンドチャネルにあり、200期間移動平均も下回っているが、MACDの指数が、20移動平均を上回る強気なクロスを示していることから、調整は既に始まっているという疑いが高まっている。
• サポート水準は、0.8423 (S1)に認められ、0.8355 (S2)と0.8323 (S3)がこれに続くだろう。最後の数値は、日足チャートに見出される。
• レジスタンスは、0.8453 (R1)、0.8503 (R2)、0.8551 (R3)に見出される。
金
• 金は、昨日の取引時間中、しつこく1368(R1)のレジスタンス水準を試し続けた。強気派が、このバリアーを突破するほど強ければ、上方への動きが続き、1394(R2)と1415(R3)のレジスタンス水準に向けた動きのきっかけとなるだろう。MACDオシレーターは、強気な領域にあり、トリガーラインを上回っていることから、さらなる上昇の動きの公算が高まっている。
• サポート水準は、1337(S1)に存在し、1305 (S2)と1271 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、1368 (R1)水準に認められ、1394 (R2)と1415 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、108.85(R2)水準と青色の下落トレンドラインでレジスタンスを見出した後、急激に低下した。下落トレンドが、その他の指標によって確認されていないと前のコメントで述べたが、本日は、MACDがまさにゼロとトリガーラインの両方を下回ったばかりである。その上、価格は、20期間移動平均と200期間移動平均の両方を下回っており、WTIの弱気な様相が伺える。
• サポート水準は、105.23 (S1)、103.44 (S2)、102.62 (S3)に存在する。
• レジスタンス水準は、106.71 (R1)に存在し、108.85 (R2)と110.58 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要