ユーロ/円相場は、98円台前半まで値位置を切り下げている。欧州債務問題を巡る混乱状況が続く中、ユーロは2000年12月以来の安値を更新している。1月9日には独仏首脳会合が開催されたが、特に債務問題に対する先行き不透明感を払拭するには至らず、ユーロの上値が重い展開が続いている。100円の節目割れでチャート主導のユーロ売り圧力も強くなっている模様だ。ユーロ相場のボトム確認は先送りされている。
独仏首脳会合では、債務危機への対応加速について合意した。メルケル独首相は、昨年12月の欧州連合(EU)首脳会合で合意した財政規律の新たな規則などについて、「早ければ全ての合意について1月中に署名できる可能性が十分にある。最も遅い場合でも3月には署名する」との声明を発表した。現時点では具体的な内容についてコメントされていないが、危機対応のペースを加速させる方向で合意形成が進んでいることが、欧州債務問題を背景としたリスク回避の動きにブレーキを掛けている。もっとも、欧州債市場が殆ど目立った反応を示しておらず、イタリア10年債利回りが危険水域とされる7%台を維持するなど、先行き不透明感は強い。ユーロ相場のボトム確認に向けてのハードルは依然として高いとみるべきだろう。
1月12日には欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されるが、ここでは追加金融緩和に向けたシグナルが出されるか否かが焦点になる。マーケットでは1.00%の政策金利に変更はないとの見方が支配的だが、近い将来に追加利下げが必要との見方が強い。このため、今会合では、どの程度まで追加金融緩和に前向きなスタンスが示されるかが焦点になる。既に日米が追加利下げの余地を残さない中、過去最低とは言え1.00%もの「高金利」を維持しているユーロは、金利面でも多くの下落余地を残している。ECBによる量的緩和政策は見送られているが、日欧の金利差は依然として縮小トレンドにあり、ユーロ売り方針を解除する理由は見当たらない。
今後1週間の予想レンジは、96.50~99.50円。