17日海外時間のドル相場は売り買いが交錯する展開となった。この日発表された米消費者物価指数(3月、CPI)の結果を受けNYタイム序盤は「米金利上昇・ドルロング(ショートカバー)」の展開に。しかし、ギリシャリスクや中国当局による空売りの規制強化等が嫌気され欧米株式が総崩れとなったことで、「米金利低下・ドルショート」へと転じた。EUR/USDは1.08レベルを維持し、USD/JPYは119円割れのまま、週明けのオープンを迎えている。
今週の外為市場では、ギリシャリスクがドル高調整圧力の後退要因となるかどうか、この点が焦点となろう。17日の米CPIは2か月連続で上昇し、コア指数は前年同期比で1.8%上昇と昨年10月以来で最大の伸びを示した。だが、米早期利上げ期待を強める程のインパクトはなく、上述の通りドル高調整地合いは継続。
しかし、先週と同じく今週も冴えない米指標データを背景にドル高調整一辺倒になるかどうかは、ギリシャ情勢次第だろう。支援国側を納得させるだけの構造改革案(公営企業の整理・公務員削減・年金減額等)が未だ提示できないギリシャに対するマーケットの不信感は日に日に増している。実際、ギリシャ市場では14日前後から「株安/金利上昇」が明確化。15日にはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャ国債の格付けを「トリプルCプラス」に1段階引き下げた。また、局地的なリスク回避要因としてグローバル株式市場で意識されてきたギリシャリスクだったが、先週後半より米国や新興国の株式市場にまで波及し始めている。
外為市場でのユーロ売りはドル高調整圧力に支えられ今のところ限定的。しかし、24日のユーロ圏財務相会合までにギリシャ支援の合意で何ら進展が見られないとの観測が強まれば、ユーロ売り圧力がドル高調整圧力の相殺要因となろう。また、欧州株式を震源地としたグローバル株式市場の不安定化が、資源国通貨と新興国通貨に対するリスク回避のドル高圧力を強める展開も想定される。
一方、円相場では再び円高圧力が強まろう。そのような展開となった場合、けん引役として注目すべきはユーロ円だが、リスク回避圧力を受け原油価格が急落する可能性もあり、対資源国通貨での円高リスクにも警戒したい。
USD/JPYは株安と米金利低下を受け118円割れリスクを警戒したい。