昨日の米独金利ラリーは、独金利に軍配が上がった。目先もこのラリーの動向によるEUR/USDのトレンドは左右されよう(米金利>独金利=EUR/USD下落 / 米金利<独金利=EUR/USD上昇)。
目先の焦点は昨日も指摘した通りこのラリーが株式市場へ与える影響だが、欧州市場は4月下旬以降上値を徐々に切り下げる展開となっている。年初からの上昇幅を考えるならば未だ調整の範囲内だが、このまま欧州債利回りの上昇のみが鮮明となれば、ユーロ圏経済への不透明感が増すことで欧州株がさらに下値を模索する展開が想定される。欧州市場で「株安・債券安(=金利上昇)」トレンドが鮮明となれば、ユーロ圏経済に対する不透明感が再台頭し、結果、ユーロ売りリスクを高める要因となりかねない。この場合、特に対ポンドや円でユーロ売り圧力が強まる展開が想定される。
また、本日以降より順次発表される4月の米指標データが総じて強い内容となれば、米アセットへの資金シフトが加速することでEUR/USDは1.10を視野に再びユーロ安/ドル高の展開となろう。
さて、本日の焦点だが、アジア時間は、中国の指標データに注目したい。4月の小売売上高(前月比予想:10.4%)及び同月鉱工業生産(同:6.0%)は共に前回より改善する見通しとなっている。中国当局が緩和強化スタンスを鮮明にしているタイミングでファンダメンタルズ改善を示す内容となれば、アジア株の押し上げ要因となる可能性があろう。株式市場が堅調に推移すれば、円相場はクロス円を中心に円売り優勢の展開となろう。
欧州時間は、ユーロ圏 / 独1-3月期 国内総生産(GDP)速報値の内容を注視したい。総じて市場予想以上となれば欧州株反転の材料となろう。欧州債利回りが上昇トレンドを維持する中で欧州株式も堅調に推移すれば、EUR/USDは1.14台へ向け反発基調を強めよう。逆に市場予想以下ならば、「株安・ユーロ売り」の展開が想定される。
NY時間は4月の米小売売上高が最大の焦点となろう。コア指数が市場予想の0.5%(前月比)を上回る内容となれば、1-3月期の景気低迷はイエレンFRBが指摘した通り特殊要因であった可能性が高いとの思惑がマーケットに広がろう。「株高・米金利上昇」を促すことで、外為市場でのドル買い戻し圧力も強めよう。逆に市場予想以下ならば、ドル安優勢の展開となろう。
【テクニカル分析コメント】-USD/JPY、激しさ増すトライアングル上限での神経戦
レジスタンス
120.85:4/13高値
120.80:オファー
120.51:5/5高値 、厚いオファー
120.30:オファー
120.25:短期レジスタンスライン
サポート
119.78:一目/雲の上限
119.70:ビッド
119.67:一目/基準線(緑ライン)
119.53:21日MA(赤ライン)
119.50:ビッド
119.45:一目/雲の下限
119.05:5/7安値
119.00:ビッド、下にストップ
昨日同様、目先の焦点はトライアングル上限の突破となろう。今日現在120.25前後で推移しているが、RSIは売り買い分水嶺の50.00レベルで右往左往し、DMIはドル安優勢シグナルを発信。また、120.30にオファーが観測されている状況も鑑みるに、120.25-30レベルはレジスタンスポイント(=ドル売りポイント)として意識したい。このレジスタンスゾーンを突破した場合は、120.50レベルまでの上昇を想定しドルロングで攻めるのも面白い。だが、120.50レベルの突破を確認するまで個人的にはドルショート戦略を選択するだろう。
一方、目先の下値焦点は119円ミドル(=一目/雲)の維持となろう。上記の各サポートポイントでの攻防を見極めながら、119円台ではドルロング構築のチャンスをうかがいたいところ。
日足チャート