昨日の欧米株式市場は、中国の緩和強化や大幅増益となったモルガン・スタンレーの四半期決算を受け総じて堅調に推移した。
しかし、米独金利は対照的な展開となった。米金利は株高を背景に2年/10年債利回りが共に上昇した一方、独連邦債利回りは8年物までマイナス化が常態化しているだけでなく、10年債利回りも0.10%割れが明確化しマイナス金利化も視野に入ってきた。米独金利差はEUR/USDの変動要因だが、その独金利が現在の欧州株高をもってしても欧州中央銀行(ECB)による緩和強化の影響を跳ね返す力がない事実は、対ドルでのユーロ売りが今後も継続することを示唆している。
さらに今後1週間は、ギリシャ情勢の趨勢を見極める上で重要局面を迎える。ギリシャ側が支援国側(EU、IMF、ECB)を納得させるだけの構造改革案さえ示すことが出来なければ5月中のデフォルトリスクがマーケットで意識され、ユーロ売り圧力が再び強まろう。
欧州株式を震源地にグローバル株式市場の不安定化も想定される。
外為市場は直近の冴えない米指標データを背景にドル高調整局面から脱し切れていないものの、ユーロ売りがドル相場をサポートすることで、ドル高優勢地合いが復活する事態を常に意識しておくべきだろう。
【テクニカル分析コメント】 -EUR/USD、10日MAと21日MAの狭間で
レジスタンス
1.0850:リトレースメント61.80%、オファー
1.0800:オファー
1.0789:21日MA(青ライン)
サポート
1.0700:厚いビッド
1.0698:10日MA(赤ライン)
1.0625:4/16安値
1.0600:厚いビッド
上値は引き続き21日MAの攻防が焦点となろう。本日、日足の一目/基準線もこのMA付近まで上昇している。このMAの突破に成功しても、短期レジスタンスライン、1.08ミドルレベルに位置するリトレースメント61.80%及びオファーの存在を考えるなら、1.08レベル上昇後は常にユーロの下落を想定しておきたい。
一方、下値は昨日ユーロをサポートした10日MAでの攻防が焦点となろう。1.07レベルには厚いビッドが観測されており、テクニカル&オーダー状況の両面でユーロ買いポイントと想定したい。だが、21日MAの突破に四苦八苦していることに加えRSIの動向も鑑みるに、10日MA下にはストップを置き、常に順張り(=ユーロ売り)へ転換することを想定しておくことが重要だろう。
日足チャート