独金利が再び低空飛行状態へ逆戻りしつつあり、且つ6月に期限を迎える国際通貨基金(IMF)への返済に不透明感が強まっているギリシャ債務問題が再び意識され、EUR/USDは1.1の攻防に敗れつつある。このまま1.05-1.10のレンジ相場へ逆戻りするかどうか、それは米指標データ次第であることはすでに指摘した通り。今日以降、順次発表されるそれら指標データが総じてイエレンFRBによる早期利上げ期待を強める内容となれば、6月中に1.05再ブレイクをトライする展開も想定される。
一方、USD/JPYも米指標データ次第でトレンドが左右されよう。日米欧株価指数は世界的な緩和レースを背景に高値圏を維持している。
しかし、122円台に近づくにつれUSD/JPYの上値が重くなっている背景には、2つの要因ある。ひとつは国内要因(=追加緩和期待の後退&国際収支の改善)。もうひとつは米金利の動向。筆者がより注視しているのは後者だ。先週のコアCPIやイエレン議長の年内利上げ発言を受けて尚、米2年債利回りは3月上旬のレベル(=0.72~0.73%)にすら反発することなく低空飛行で推移している。10年債利回りも2.40%台へ近づくと低下圧力が増す状況に変化は見られない。これら米金利の頭打ち感を打破するには、やはり1-3月期の景気低迷はイエレンFRBが指摘するように特殊要因に起因した一時的な現象であった、という証拠が必要だろう。
だが、良好な指標データは短期的に米株の圧迫要因となる可能性がある。よって円相場はEUR/USD以上に予測が難しい。特に直近の米国マーケットの動向は、「株高/米金利上昇」という共存関係の構築が難しい環境となっていることを示唆する局面が見られる。USD/JPYの122円超えは意外とハードルが高いのかもしれない。
【テクニカル分析コメント】 -USD/JPY、122円トライか新たなレンジ相場を形成か
レジスタンス
122.50:厚いオファー
122.03:今年最高値
122.00:厚いオファー、オプションバリア、上にストップ
121.77:5/25高値
サポート
121.00:ビッド
120.54:10日MA(緑ライン)
120.50:ビッド
120.09:21日MA(赤ライン)
120.00:ビッド
目先、最大の焦点は年初来高値の更新。122.00レベルには厚いオファーと同時にオプションバリアも観測されており、3月同様上値をレジストする可能性を意識したい。
だが、良好な米指標データ及び株高維持となれば、122.00上のストップを巻き込みさらなる上値トライの可能性が高まろう。その場合は、再び厚いオファーが観測されている122.50レベルが次のターゲットとして浮上しよう。尚、2007年7月17日以降、このレベルで上値がレジストされた経緯がある。
一方、下値は上記のポイントを維持できるかが注目される。121.00、120.50前後にはビッドの観測あり。
アジア時間はレンジ相場(=121.40-121.80)を想定。動き出すなら、個人的には米指標データと米株の反応を見極めてから。
指標データが総じて良好な結果となればドルロングで攻め、122.00手前でアンワインド(NYタイムに入るまで121円台で推移していることが前提)。このレベルで一度逃げる理由は、やはり米株の反落リスクと高値掴みを避けるため。
新たなロング構築は122.00超えを確認してからの方が良いだろう。この場合、次のターゲットは最大で厚いオファーが観測されている122.50レベルだが、米金利の急激な上昇と同じく、急速なドル高も米株の圧迫要因となる可能性がある。このため、122円以上でのロングは早めに清算する方が良いかもしれない。または、途転で攻めるのも面白い。
日足チャート