【マーケットコメント】-目先は円高の加速に要注意
8月の米個人消費支出(PCEコア・デフレーター)は市場予想の範囲内。株式市場での不安定化も継続中。ドル高の持続性には2つの条件-良好な米指標データ&株高維持-をクリアすることが必須条件と昨日のレポートで指摘したが、現在の市場動向を鑑みるに、ドル相場は売り買いが交錯するレンジ相場となる可能性が出てきた。
むしろ注視すべきは、①米利上げリスク、②不安定な株式市場、③「異次元緩和」の優位性の後退を背景とした円高加速の方だろう。
①と②は連動している。中国の景気減速懸念等を背景にグローバル株式市場で不安定な状況が続く中、イエレンFRB議長は年内利上げを敢行するスタンスを崩していない。来月2日の米雇用統計(9月分)が強すぎる内容となれば、米金融引締めリスクまでが意識されることで、グローバル株式市場の不安定化が長引く可能性がある。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の日独金利(10年債利回り)の低下幅とEUR/JPYの上値の重さを考えるならば、欧州中央銀行(ECB)による緩和強化観測の前に「異次元緩和」の優位性が後退している兆しが見える。来月1日の日銀短観が下振れして尚、黒田日銀が現状の楽観スタンスを崩すことがなければ(昨日の講演でも黒田総裁はこれまで通りのスタンスを維持)、その優勢性はさらに後退しよう。上記の株安が継続すれば、目先は円相場全体がさらに円高へ振れる展開も想定される。