欧州中央銀行(ECB)は9日、量的緩和を開始した。欧州マーケットでは、期待先行で進行していた株高とユーロ安の調整が見られた。前者に関しては、今後も緩和マネーが相場をサポートする状況が継続しよう。
問題は後者(ユーロ相場の動向)だが、昨日の対ドルにおけるユーロのショートカバーが一時的な現象にとどまった事実は、逆にドル先高観を示唆するかたちとなってしまった。
また、円相場も同様の点を示唆している。USD/JPYは米早期利上げ期待に加え米株の反発もあり、2014年の高値がいよいよターゲットに入ってきた。対照的に昨日のクロス円は、NYタイムに入ると円高優勢の展開となっている。米株が反発したにもかかわらずクロス円の上値が重い背景にあるのは、ドルストレートでの根強いドル買い圧力だ。事実、EUR/USDは1.0907レベルまでポジション調整が進行したものの、5日MAすらトライできずに敢え無く反落している。
また、米金利の低下に加え、原油価格(WTI4月限)が3日営業日ぶりに反発したにも関わらずAUD/USDは再度の0.77割れ、NZD/USDも連れ安し約1か月ぶりとなる0.7322まで下落した。USD/CADも1月30日に付けた高値1.2798レベルを視野にドル高圧力が強まっている。
筆者の見立て通り(日欧緩和マネーの流入期待、米株の調整入りパターン、原油価格反発そしてギリシャリスクの一時的な後退を背景に)3月の米株が高値圏での攻防を維持するならば、円相場での円高圧力は後退しよう。
ただ、米早期利上げに加え、株高維持となれば米金利への上昇圧力はさらに強まろう。これは、グローバル市場が、これまでの「株高オンリーリスク選好」から「株高+米金利上昇のリスク選好」へシフトする意味し、それ故に円相場のけん引役もクロス円からUSD/JPYへの完全シフトを促そう。
そのUSD/JPYは、米株の反発に伴い121円ミドルをトライする状況となっている。この事実を鑑みるに、USD/JPYのトレンドを左右する重要ファクターとしての米株に今後もマーケットの焦点が集中しよう。
【テクニカル分析コメント】- USD/JPY、米株続伸ならば121.86トライ
レジスタンス
122.00:厚いオファー&オプションバリア、上にストップ
121.86:2014年最高値
サポート
120.50:ビッド
120.20:ストップ
120.00:短期サポートライン1(3/3安値119.38起点)、ビッド
119.55:21日MA(赤ライン)
119.50-40:ビッド&ストップ
118.93:短期サポートライン2(1/16安値115.85起点)
上値の焦点は、引き続き2014年高値121.86レベルの突破となろう。
一方、下値のそれは、120円台を維持できるかが注目される。この点を左右するのは短期サポートラインでの攻防となろう。
ただ、119円ミドルレベルまで上昇してきた21日MAを下方ブレイクしない限り、ドル高/円安トレンドは継続する可能性が高いだろう。
尚、RSIはまだ上値余地があることを示唆。直近のオーダー状況は上述の通り。