13日の海外外為市場は、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁のハト派発言や米金利低下を受け、ドル安優勢の展開となった。ユーロドルは対ポンドでのユーロ高の影響も重なり、1.2492レベルまでユーロ高/ドル安が進行した。ただ、1.2500突破に失敗し続けている事実は、米欧金融政策のコントラスト(方向性の違い)が外為市場で根強く意識されていることを示唆している。米ドルの総合的なトレンドを示すドルインデックスの下落幅が限定的だった点も鑑みるに、ドル相場の堅調地合いは今後も継続する可能性が高いだろう。
一方、円相場は引き続き円安優勢の展開となった。堅調な欧米株式動向に加え、解散総選挙&消費税引き上げ延期観測も円安トレンドをサポートした。
【気になる新興国市場】
昨日は、米国株式市場でダウ平均が2営業日ぶりに過去最高値を更新した。しかし米金利は、原油価格低下に伴う低インフレの継続観測と低調な30年債入札を受け低下。米株高に米金利が追随出来ない「株高オンリー」の状況がドル売りを誘発したかたちとなったが、気になるのは資源国&新興国通貨の動向だ。「株高オンリー」の状況にもかかわらずUSD/CADはむしろ堅調に推移。USD/BRLやUSD/MXNも同様の展開に。変動相場制に移行後も、USD/RUBでのRUB売り優勢地合いも継続している。CAD売りの背景にはKeystone Pipeline project投票の延期や原油価格の下落、BRLのそれには新財務相人事を巡る不透明感、RUBのそれにはウクライナ情勢と、個々のネガティブ要因が影響している。だが9月以降のAUDやNOK(資源国通貨)の動向や、米株高とは対照的な新興国株式市場の軟調地合いも鑑みるに、これら共通の要因として意識すべきはやはり米引き締め観測だろう。
現状、米国マーケットが堅調に推移していることから、新興国市場を震源地としたリスク回避ムードが拡散するムードは感じられない。しかし今後は、イエレンFRBによる引締め政策がより意識されるフェーズへとシフトする。その過程で、今年はじめに発生した新興国市場を震源地としたリスク回避相場が再来する可能性があろう。それを抑え込む鍵は、やはり欧州中央銀行(ECB)の動向にあろう。日欧緩和マネーがグローバル市場を支える構図が確認されるまで、新興国市場、特にファンダメンタルズが脆弱(経常赤字、財政赤字、慢性的な高インフレ)な市場では不安定な状況が続く可能性が高い。
みなさん、よい一日を!