イランのロウハニ大統領はイランが原油輸出できなければ、他の湾岸諸国も原油輸出も不可能になるという考えを示したことにより、アジア時間水曜日午前の取引で原油価格は下落した。これは、今後のOPEC総会での不確実性や世界的な株価下落の一要因となった。
日本時間午前7時55分におけるニューヨークマーカンタイル取引所のWTI原油先物価格は0.92%上昇し1バレルあたり52.76ドルとなった。
ロンドンインターコンチネンタル取引所の2月限 ブレント原油価格は0.05%上昇し1バレルあたり61.36ドルとなった。
ロイター通信によると、ハサン・ロウハーニーイラン大統領は火曜にテレビ演説で「イランは自国の原油を売却しており、今後もそれを続けていく。米国はイランの原油輸出を止めることが出来ないことを認識すべきである」と述べたとのこと。さらに「今後米国がイラン産原油の輸出を阻止しようとするならば、湾岸諸国のどの国からの原油輸出もなくなるであろう」と強調した。
この発言は、先月に米国がイランに原油制裁を課し、イランの原油輸出をゼロにしようとしていたことに起因している。しかし、米国政府が8カ国にたいして制裁適用免除を認め、イランから原油の輸入は一時的に許可されている。またイランは、OPEC総会で原油減産について合意に至らない場合、原油価格が1バレルあたり40ドルまで下落する可能性があると警告している。
OPECは、ロシアを含む同盟国とともにオーストリアのウィーンで木曜でOPEC総会を開く予定となっており、今後6ヶ月の原油生産量の方針を決める目的だ。ロイターによると、事実上のOPECの盟主であるサウジアラビアは100万から140万バレル/日の減産を提案していた。また、サウジはロシアと原油市場をコントロールしていくことで合意している。月曜日、カタールが1月にOPECを脱退することを表明し、OPEC総会は不確実なものになっている。
市場心理に影響を及ぼす他の要因としては、世界的な株価の下落が考えられる。
火曜日、米国株は軒並み下落し、 ダウ平均株価は3.1%の下落、S&P 500は3.24%の下落、ナスダックは3.8%の下落で取引を終えた。その影響はアジア市場まで広がり、中国の 上海総合指数は0.77%の下落、深セン成分指数は0.74%の下落であった。香港のハンセン指数は1.46%の下落、日本の日経225は0.46%の下落、韓国のKOSPIは0.61%の下落であった。
今回の株価の下落は、トランプ米大統領が「中国と合意に至らなかった」場合には追加関税を課す可能性をほのめかし、米中貿易摩擦への懸念が再燃したことに起因している。