■株式相場見通し予想レンジ:上限22000-下限21000円来週の日経平均は、手掛かり難のなか調整ムードが先行する展開となりそうだ。
19日からFOMCが開催され、20日のパウエルFRB議長の会見では経済見通しが発表される見込みである。
日本銀行が15日開催した金融政策決定会合では輸出、海外経済、鉱工業生産についての判断が下方修正された。
株式市場の視点は米国金利から世界景気の動向へと移っており、FRB議長の会見の内容次第ではネガティブな反応が相場に現れる可能性もある。
日経平均が上海総合指数など中国株の展開に反応を強めるなか、来週は中国の重要な経済指標発表が予定になく、貿易摩擦を巡る米中首脳会談と英国のEU離脱期限もともに4月以降に延期される見込みとなったことで、売り買いともに動きにくい展開となろう。
21日に祝日(春分の日)を挟むことも相場的には手掛けにくさを強める要因だ。
こうしたなか、15日に伝わった「北朝鮮が非核化を巡る米国との交渉について中断を検討」とのニュースは、地政学リスクの上昇を警戒させる新たな懸念材料だ。
15日の第一報では相場への影響は限定的だったが、為替の円高・ドル安の進行材料として働くと、日経平均にはネガティブな影響が出てくるとみられる。
一方で、3月の決算期末、年度末に向けた機関投資家や事業法人の決算対策売りはほぼ峠を越える頃で、現物株の売り圧力が低下していく方向にあることは需給面でのプラス材料だ。
テクニカル面でもマイナスムードには転じていない。
14日にかけて日経平均の日足チャートは25日移動平均線を2日連続で割り込んだが、15日には回復し、12日以降の5日移動平均線上も維持した。
5日と25日の両移動平均線がサポートしている間は、上昇トレンド維持を期待できるだろう。
3月末の配当、株式分割、株主優待の各種権利取り最終日の26日まで残すところあと6営業日で、権利取りの動きも相場の下支え要因として働く。
また、統一地方選が告示される週となり、政策面での影響が物色を刺激する可能性もある。
主な国内経済関連スケジュールは、18日に2月貿易統計、2月首都圏新規マンション発売、19日に2月訪日外客数、20日に1月22-23日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、2月コンビニエンスストア売上高、21日は春分の日で東京市場が休場、22日に2月消費者物価指数がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外経済関連スケジュールは、18日に米3月NAHB住宅市場指数、19日にFOMC(20日まで)、米1月製造業受注、20日にパウエルFRB議長会見(経済見通し発表)、21日にEU首脳会議(22日まで)、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米2月CB景気先行総合指数、22日に米2月中古住宅販売件数、23日に米2月財政収支が予定されている。
■為替市場見通し来週のドル・円は上げ渋りか。
英国議会は欧州連合(EU)からの強硬離脱(合意なき離脱)を否決し、離脱の期限を3月29日から6月30日まで延長することを模索している。
一方、欧州の主要経済指標は景気回復の遅れを示唆しており、ポンドやユーロは目先も買いづらく、対欧州通貨でドルが再び選好される可能性がある。
この動きはドル・円の取引にも影響を与えそうだ。
ただ、3月19-20日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では政策金利の据え置きが決定される公算。
会合後に予定されているパウエルFRB議長の記者会見では、利上げを急がない姿勢が表明されるとみられており、ハト派寄りの発言内容になるとの見方が多い。
直近の米雇用統計では失業率の低下などで雇用情勢は改善する反面、消費者物価指数などインフレ率は鈍化しつつあり、市場参加者は経済成長の減速を意識している。
FOMC会合の結果判明を受け、追加利上げ期待はさらに低下し、ドル売りがやや強まる展開も想定したい。
また、貿易・通商分野における米中協議については、「米企業が中国の提携先に技術移転を強制されないようにすることや、米国の知的財産権の全面的な保護について米国側は譲歩することはない」との見方が多く、協議が難航すれば円買いも入りやすいだろう。
米貿易赤字是正のための貿易交渉に関しては、日本との協議への思惑が広がっており、為替条項などで円安政策が封じられるとの観測が浮上している。
そのため、一部で投機的な円買いが発生する可能性がある。
■来週の注目スケジュール3月18日(月):日貿易収支、欧貿易収支など3月19日(火):英失業率、米製造業受注、米FOMCなど3月20日(水):日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨、パウエルFRB議長が記者会見など3月21日(木):国内株式市場は祝日休場、英中央銀行が政策金利発表、欧首脳会議、習近平国家主席がイタリア訪問など3月22日(金):独PMI、ユーロ圏PMI速報値、米PMIなど