予想外の中国の貿易収支や、米政府による対メキシコ関税見送り合意により株価が上昇し、一方で10日の金先物は下落している。
午後4時10分の時点で、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の8月限金先物は、1オンスあたり1.07%%下落し1331.65ドルである。
進行中の米中貿易戦争にもかかわらず、今朝発表された中国の5月貿易黒字は予想を大幅に上回った。
一方米政府は先週、メキシコが米国への不法移民流入問題に対応しない限り、メキシコからの全輸入品に対して5%の追加関税を発動すると表明した。しかし、7日遅くにトランプ米大統領は、追加関税を無期限で停止することを発表した。
金先物は、今日の下落にもかかわらず、リスクヘッジとして今年中に1400ドルに達することを見込んでいるアナリストもいる。
INTL FCStone IncのEMEA地域およびアジア地域の市場アナリストであるRhona O'Connell氏は「大概のアセットクラスに対して疑問視されている状況下では、金が輝くことが考えられる」と述べる。
「世界経済の見通しには十分なリスク要素が存在している。依然としてある程度の地政学的リスクがあり、通貨はボラティリティーが上昇し、市場は不況を見込んでいる。株式市場は明らかにリスクにさらされている」
金相場は、先週7日に発表された米雇用統計が軟調であったことが下支えになっていた。また、この雇用統計の結果から、FRBが利下げに踏み切る観測を強めている。アナリストは、米中貿易戦争が激化し、世界の経済成長率が懸念される中で、早々に利下げが行われるのではないかと期待している。
パウエルFRB議長は先週に「経済拡大を持続するために適切に行動する」と述べている。
米中貿易交渉では、ムニューシン財務長官は、中国との議論が難航した場合にさらなる追加関税を課す用意があると述べている。
トランプ米大統領は、今月に日本で開催されるG-20首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と会談するとみられている。