■ビジネスモデル1. ヒト・スキルのシェアリングを行うBPO事業ギグワークス (T:2375)のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特徴がある。
依頼を受ける仕事は多岐にわたり、毎月1,000社以上から仕事を受ける。
同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在ではIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増えた。
IT関連での事例としては、ロボットキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。
IT関連以外の事例では、店頭での家電販売、多言語コールセンター、ミステリーショッパーなどがある。
特に全国規模での短期集中の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多い。
依頼主は法人が主だったが、個人向けのプラットフォームを本格稼働させる計画で、“家のPCを修理してほしい”、“雪かきをしてほしい”などの個人からの依頼にも対応していく予定。
法人からの仕事の依頼を受けるシステムが「Jobpro」であり、個人からの仕事の依頼を受けるシステムが「Rescue Me!」である。
創業以来、累計で650万件を超えるマッチングを行い、多様な働き方を支援してきた。
仕事を行うのは、同社の従業員とともに10万人を超える登録スタッフである。
登録者には、スキルの高いフリーランスが多く、常時雇用ではないため、同社の固定費負担は極力抑えられる。
登録者にとっては、同社が営業して企業から様々な仕事を取ってきてくれ、自分に合ったライフスタイルで働くことができ、スキルのアップデートも図れるというメリットがある。
同社のプラットフォーマーとしての役割として重要となるのが、「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」と「マッチング」である。
「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」に関しては、教育の支援をすることによりスキルアップを促進する、覆面調査により実態に即した評価を行うなど、様々な工夫をしている。
「マッチング」に関しては、システムによる自動的なマッチングも行うが、同社スタッフによるきめ細かな調整作業も強みである。
同社の社員がプロジェクト管理をしっかり行う業務委託もあれば、個人と依頼主の雇用契約もあるなど、多様な形態を提案できる。
結果として、顧客の約98%※、登録ワーカーの70%以上※が総合的に満足している。
※顧客満足度調査より、「非常に満足」と「満足」の比率の合計2019年10月期第3四半期累計のBPO事業の売上高は前年同期比7.5%増の11,638百万円、営業利益は同17.6%増の1,170百万円となった。
2. 成長続けるコワーキングスペース事業同社は、スペースのシェアリングも行っている点に特長がある。
2015年から参入したコワーキングスペース事業ではオフィススペースの共有を行っており、利用するワーカー(個人事業主)にノウハウ共有やスキルアップ支援するという価値も提供している。
同社のコワーキングスペース事業は連結子会社のアセットデザインが展開しているシェアオフィスサービスが主体であり、「THE HUB」のブランドを中心に東京・神奈川・愛知・大阪で57拠点を構える。
半数以上の店舗は直営店、残りは運営受託店である。
多様化するワークスタイルに合わせた内装やサービスメニューを提供し、利用企業社数は4,243社(2019年7月末日現在)と4,000社を突破して増え続けている。
最大の強みは、同社の10万人を超える登録エージェントが潜在的な会員であり、相乗効果がある点である。
今後も成長を志向し、2022年10月期150店舗、10,000会員を目指す。
2019年10月期第3四半期累計のコワーキングスペース事業の売上高は、前年同期比28.8%増の1,432百万円、セグメント利益は23百万円(前年同期は74百万円の損失)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)