[北京/上海 30日 ロイター] - 中国銀行 (SS:601988) (HK:3988)は米CMEグループ (O:CME)に対し、4月20日に起きた原油先物価格の「異常な変動」の理由について調査するよう公式な書簡で要求する方針を明らかにした。そのために弁護士と契約したという。
中国銀行は29日夜、発表文書で、投資家との協議を継続し、現在の法的枠組みの下で責任を負い、できるだけ早期に顧客の「妥当な要請」に対応する方針を示した。
CMEは30日、ロイターのコメントの求めにこれまでのところ回答していない。
米WTI原油先物の期近5月物は20日に暴落し、史上初めてマイナス圏に沈んだ。この日の清算値は306%(55.90ドル)安の1バレル=マイナス37.63ドル。
新型コロナウイルスの感染拡大による需要の落ち込みや、サウジアラビアとロシアの対立が引き起こした価格戦争、貯蔵施設の不足を背景に原油価格は今年、大幅に下落。これにより、原油関連商品の価格も急落している。
WTI先物が取引されるニューヨーク・マーカンタイル取引所を運営するCMEは4月初旬、マイナス価格でも処理できるようにシステムを刷新していた。
中国銀行は先週、個人投資家に販売していた北海ブレント (LCOc1)やWTI (CLc1)など国内外の原油先物契約に連動する「原油宝」と呼ばれる仕組み商品をマイナス価格で決済した。
個人投資家からは、中国銀行が投資家の利益を保護する措置を取っておくべきだったとの声が上がっている。
「原油宝」は投資家が自分で原油先物の期近物から期先物に乗り換えることが可能な商品だが、中国銀行に任せていると、中国銀行は期近物の最終取引日に自動的に決済するという。
WTI先物の期近5月物の暴落は最終取引日に起きた。
中国の経済メディア「財新」が26日、当局筋の話として報じたところによると、個人投資家は総額90億元(13億ドル)を超える損失を被った可能性がある。
中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は商業銀行に対し、投資家にとって無限の損失につながる可能性のある金融商品「理財商品」の新規販売を停止するよう求めたという情報もある。