[ドバイ 27日 ロイター] - イランのガリバフ国会議長は27日、国際原子力機関(IAEA)による核査察の受け入れに関する合意の失効を受け、同国の一部核施設内の映像をIAEAに引き渡すことは決してしないと表明した。イラン国営メディアが伝えた。
ガリバフ氏は「合意は失効した。記録された情報がIAEAに提供されることは絶対にない。データと映像はイランが保有し続ける」と強調した。
国営紙テヘラン・タイムズのウェブサイトによると、イラン国会の国家安全保障外交政策委員会の報道官は「米国が制裁を全面的に解除しなければ、IAEAの監視カメラの電源も切る」と警告した。
イランの姿勢表明は、イラン核合意の再建を巡る同国と欧米など6カ国の協議に悪影響を与える可能性がある。米国は3年前に核合意から離脱して対イラン制裁を再導入し、イランはこれを受けて核合意の義務履行を相次いで停止した。
イランは2月、IAEAの厳しい査察を受け入れる「追加議定書」の履行を停止し、その影響を和らげるために3カ月間は必要な査察を受け入れることで合意した。この合意は5月24日に1カ月間延長された。
合意の下、IAEAは録画した映像の事後的な検証だけが可能となった。
IAEAは25日、査察受け入れ合意を延長するかどうかについて、速やかに回答するようイランに要求した。イランのガリババディ在ウィーン国際機関代表部大使は、イランに回答する義務はないと応じた。
ブリンケン米国務長官も25日、監視協定を延長できない場合、イラン核合意の再建に向けた協議に「重大な懸念」が生じると警告した。