[台北 8日 ロイター] - 台湾は8日、2011年の福島第1原発事故後に導入した福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産食品の輸入禁止措置を緩和すると発表した。
行政院(内閣)報道官は、禁輸措置の「公平な調整」を行うことを決定したと説明。多くの国が禁輸を解除する中、台湾も追随することが妥当だとし、厳格な検査体制があるため安全面のリスクはないとした。
報道官は「国際的な経済・通商システム、すなわちCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)に加盟するには、部外者の立場に立ったり、古いやり方に固執して科学的な証拠を無視するようなことはすべきではない」とした。
台湾は昨年、日本が加わっているCPTPPへの加盟を申請。日本産食品の輸入禁止措置を緩和することにより、CPTPPの責任感があり信頼できるメンバーになり得ると示すことができると期待している。
報道官によると、キノコや野生動物など一部の食品の輸入禁止は継続する。他の食品については、放射線テストの結果と原産地証明の提出を義務付け、台湾に到着した際に改めて検査を行う。2月下旬から実施する可能性が高い。
台湾は18年の住民投票で、禁輸維持に大幅な支持が集まったが、投票結果の有効期間は2年間となっている。
蔡英文総統は禁輸緩和決定について、台湾はCPTPPなどに加盟することによって「グローバルになり、世界に伍していく」必要があるとフェイスブックに投稿した。
日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表(大使に相当)は、禁輸緩和に歓迎の意を示し、日本と台湾は自由や民主主義などの価値観を共有しているなどとコメントした。
一方、台湾の主要野党・国民党の朱立倫主席は、住民投票の結果をほごにすることはできないと反発。与党の民主進歩党は「代償を支払うことになる」とした。