[ウィーン 17日 ロイター] - イラン核合意再建に向けた主要国の交渉で、イランが義務履行に戻り、米国が復帰を果たす段階的な手続きを定めた草案が大筋でまとまり、詰めの協議が行われていることが明らかになった。
外交筋によると、第一段階にはイランによるウラン濃縮度引き下げなどが盛り込まれ、その後、米国が対イラン制裁の解除に着手する。
2015年に結んだ核合意が当初目指したように、イランが核開発を縮小する見返りとして、イラン産原油禁輸を含む経済制裁を解除する道筋を描いている。
トランプ前米政権が18年に核合意を離脱し、対イラン制裁を再開したのをきっかけに、イランは義務違反を重ね、ウラン濃縮度を核兵器級に近い60%まで引き上げ、核合意が上限と規定する3.67%を大幅に上回っている。
交渉内容に詳しい3人の外交筋によると、草案は第一段階として、イランが5%を超えるウラン濃縮活動を停止すると規定。中ロ英仏独など当事国の承認を経て、実施される。外交筋によると、韓国の銀行にある約70億ドルのイラン資金の凍結解除やイランが拘束している欧米人の解放も盛り込まれるとみられる。
最初の一連の措置が講じられたことが確認されてからはじめて、イラン関連制裁解除の手続きが始まる。15年の核合意で「履行の日」があったように、外交筋は制裁解除手続きに入る日を「再履行の日」と呼んだが、各段階のスケジュールはまだ決定していない。複数の当局者は、合意がまとまってから「再履行の日」までの期間を1─3カ月と予想している。
また、外交筋によると、イランはウラン濃縮度の上限3.67%を含む、主要な核開発制限の義務履行に復帰する見通し。
草案によると、米国はイランの石油部門への経済制裁に関する適用除外措置を復活させる。
交渉内容に詳しい中東の外交筋は、オバマ元大統領とトランプ前大統領がかつて、イラン産原油禁輸に90日間から120日間の適用除外措置を適用し、何度も更新していたと説明。「このような適用除外措置の再開について合意があった」と述べた。