[キエフ/マリウポリ 24日 ロイター] - ウクライナ政府は、ロシアが本格的なウクライナ侵攻を開始した24日に57人が死亡し、169人が負傷したと明らかにした。戦闘はウクライナ東部のほか、北部と南部でも続いている。米国防当局者はロシアの攻撃の主要な標的は首都キエフとの見方を示した。
ロシアのプーチン大統領は24日未明に軍事作戦開始を表明。キエフなどでは爆発や銃声が続き、合わせて70人が死亡したとの情報もある。
ウクライナ国境警備隊によると、ロシア軍はロシア、ベラルーシ、クリミアから攻撃を仕掛けた。ロシア部隊はその後、国境を越え北部チェルニヒウ、北東部ハリコフ、東部ルガンスクの各地域に入った。南部黒海沿いの都市オデッサやマリウポリにも侵攻したという。
ロシア軍は同日、ウクライナにある陸上の標的83カ所を破壊し、攻撃目標を達成したと、インタファクス通信が報じた。
バイデン米大統領は、対ロ追加制裁措置を発表。ロシア第2位のVTB銀行など新たに4行を制裁対象とし、ドルや円、ユーロ、ポンドでビジネス取引を行う能力を制限する。また、ロシアへのハイテク製品輸出も禁止し、ロシアのハイテク輸入が半分以上減少するという見通しを示した。
バイデン氏は、ウクライナ侵攻が「計画的な攻撃」だと強調。「プーチン大統領は侵略者で、この戦争を選んだ」とし、西側諸国が目指していた対話を拒み、国際法に違反したと批判した。
これに対し、プーチン大統領は、安全保障を巡る状況を変える政府の試みが全て無に帰したことから特別軍事作戦を命じるほか選択肢はなかったとし、「何らかの形で制裁への備えはできている」と語った。
各地からの映像によると、激しい戦闘は各地で日没後も続いた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「国家防衛を確保するため」として、90日間の総動員令を命じた。
国連によると、推定10万人のウクライナ国民が避難を強いられた。ルーマニア、モルドバ、ポーランド、ハンガリーなどの周辺国に数千人が逃れたという。
<首都キエフに進軍か>
ウクライナ大統領府は、ロシア軍が北部のチェルノブイリ原子力発電所を掌握したと明らかにした。ポドリャク大統領顧問は「ロシアによる全く無意味な攻撃を受け、チェルノブイリ原子力発電所が安全と断言するのは不可能」とし、「欧州における最も深刻な脅威の一つだ」と述べた。
このほか、ロシア軍は南部ヘルソン地域の一部を掌握したほか、キエフ近郊のホストメル空港にはパラシュート部隊を投入して制圧したという。
米国防当局者は、ロシアによるウクライナ侵攻はウクライナ政権打倒が狙いで、攻撃の主要な標的は首都キエフだと確信していると明らかにした。
<G7は協調して制裁実施へ>
主要7カ国(G7)は24日、ロシアによるウクライナ侵攻を強く非難した上で、ロシアに対する厳格かつ協調した経済・金融制裁を実施すると発表した。
共同声明で「今回の危機は規則に基づく国際秩序に対する深刻な脅威であり、その影響は欧州をはるかに超えている」と指摘。ロシアのプーチン大統領が欧州大陸に再び戦争をもたらしたとの見解を示した。
ロシア大統領府は、プーチン大統領がマクロン仏大統領と電話会談し、ウクライナにおけるロシアの行動の理由を「徹底的」に説明したと明らかにした。
仏大統領府によると、マクロン大統領はウクライナにおける軍事作戦を即時停止するよう求め、「大規模な制裁に直面することになる」と警告した。
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