[ウィーン 7日 ロイター] - イラン核合意再建に向けた協議は、ロシアがウクライナ問題を巡る制裁に絡む要求を提示したため、最終段階で暗雲が広がり出した。交渉失敗を回避するには、イランと米国の政治判断が数日以内にも必要な状況となっている。
協議を仲介している欧州連合(EU)のエンリケ・モラ主席調整官は「もはや『専門家レベルの協議』も『公式会合』もない。向こう数日以内に、ウィーンの協議を終えるため政治判断を下す時だ」とツイッターで述べた。
イラン側の交渉責任者を務めるアリ・バゲリ・カニ氏は7日、国内で話し合いを行うため帰国した。
ホワイトハウスのサキ報道官は、合意に「近づいている」としながら、「重要な項目」でなお決定が必要だと述べた。詳細は不明。
ウィーンでの協議に関与している関係者らは先週、数日以内に合意に達する見通しとしていた。
だが、協議に参加しているロシアが6日、ウクライナ侵攻を受けて西側諸国がロシアに発動した制裁が、ロシアとイランの貿易や投資、軍事技術協力には悪影響を及ぼさないという保証を米国に要求したため、不透明な状況に陥った。
ロシアのラブロフ外相は7日のイランのアブドラヒアン外相との電話でも、再建後の核合意ではどの参加国も差別されるべきではないと伝え、ロシア側の要求を堅持した。
イラン政府は「いかなる外国勢力も(イランの)国益を損なう」ことは容認しないと表明した。
一方、同国治安トップのアリ・シャムハニ氏は7日、米国が政治判断を下す必要があると指摘。「イラン交渉官の優先事項は、レッドライン(越えられない一線)とされる懸案事項の解決だ。強力な合意の迅速な実現には、全当事者による新たなイニシアチブが必要だ」と述べた。