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[ボルティモア(米メリーランド州) 21日 ロイター] - 米英の政府当局者は21日、通商関係強化に向けた協議を2日間の日程で開始した。西側諸国がウクライナに侵攻したロシアへの圧力を強める中、米英の協力関係の重要性を強調した。
今回の協議は、年間2600億ドル規模の米英通商関係の現状を把握する幅広い取り組みの一環。鉄鋼関税など個別の問題は別途協議が行われ、自由貿易協定(FTA)交渉は棚上げされたままだ。米英FTA交渉はトランプ前米政権下で行われたが、バイデン大統領就任後に棚上げされた。
米通商代表部(USTR)のタイ代表は会合で、両国がこの1年で航空機補助金やデジタルサービス税を巡る問題を解決し、現在はロシアへの制裁で緊密に連携していると指摘。「英国のように最も緊密な同盟国との経済関係強化に取り組むことがこれまで以上に重要だ」と強調した。
その上で、両国は共通の優先事項を特定し、「双方の市民にとって包摂的な経済成長とイノベーション」を促進すると述べた。
米当局者によると、米国の優先事項には労働者の権利保護や環境保護の拡大、経済の脱炭素化、人種・性別間の公平性促進、サプライチェーン(供給網)の強靭化などが含まれる。
トレベリアン英国際貿易相は会合後、経済界や労働団体の幹部らに対し、ここ数年や数週間の大きな衝撃は「強靭さや新たなビジネス手法の必要性を示している。保護主義は解決策ではない」と述べた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やロシアのウクライナ侵攻に言及したものとみられる。
同相はその上で、米国とこれまで以上に緊密な通商・投資関係を築くことを目指す考えを示した。
米国の鉄鋼・アルミ関税を巡る両国の協議については「順調に前進」しているとした。