[ロンドン/ワシントン 29日 ロイター] - ロシア財務省は29日、これまで自国通貨ルーブルで行うとしていたドル建て債の支払いをドルで行ったと明らかにした。デフォルト(債務不履行)回避に向けた動きとみられる。
財務省は2022年満期債券について5億6480万ドル、24年満期債券について8440万ドルの支払いをドルで行ったとし、資金はシティバンクのロンドン支店に送られたと明らかにした。
両債券とも支払い期日は過ぎているが、30日間の猶予期間が設定されているため、最終的な期日は5月4日になっている。
米政府高官は、ロシアが米国で凍結された外貨準備金を使わずに支払いを行ったと確認したが、資金の出所は不明と述べた。
アデエモ米財務副長官はロイターに、米の制裁政策に「成功の兆し」が出ていると述べた。米国の投資家がドル建て国債の利払いを受けられる例外措置の期限は5月25日だが、延長の可否などについて明言を避けた。
<デフォルトになお備え>
ロシア側が支払いを発表する一方で、デフォルトに備えたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の入札準備はなお進んでいる。
大手金融機関や投資会社で構成するクレジット・デリバティブ決定委員会は29日に会合を開き、ロシアの支払いに関する報道を確認した。しかし、「債務不履行の可能性に備えて」来週のCDS入札は準備をしているとした。
ロシア財務省によると、資金は支払いを代行する米シティバンクのロンドン支店に送金された。シティはコメントを控えている。
これとは別に、ロシアのズベルバンクは、米・英による対ロシア制裁措置によって当初の契約通り投資家に支払いを行うことができなかったため、2件のユーロ建て劣後債のクーポンをルーブルで支払ったと明らかにした。
<ロシア国債上昇>
ブローカーによると、ドル建て債履行の発表を受け、ロシア国債は価格が上昇、ドル建てで2倍近くになる銘柄もあった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、ロシアの5年物CDS(アップフロント方式)は64.333%となり、28日の76.4%から低下した。
指数算出会社MSCIのマネジングディレクター、アンディ・スパークス氏は、米の制裁例外措置が5月25日に失効すれば、デフォルトの可能性は大きくなると指摘し、投資家の多くは延長を予想していないとの見方を示した。