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エネルギー・貴金属:週次レビューと見通し

発行済 2022-05-01 18:32
更新済 2022-05-01 17:52
© Reuters.

執筆:Barani Krishnan

Investing.com -- 米連邦準備制度理事会(FRB)は5月の{{ecl-398||FOMC会合}にて50bps、または0.50%の利上げを承認することがほぼ確実視されており、20年以上ぶりにこの規模の利上げを行うことになる。市場参加者は、6月の同会合では75bpsの引き上げを予想している。米国経済が「急激な利上げに耐えられる」と考え、かつ「何としても」インフレを抑えなければならない、という喫緊の必要性に迫られた場合、FRBがここまで踏み込むかもしれない。

果たして積極的な利上げを、経済を減速することなく受け止めることができるのだろうか。少なくともFRBによれば、現在の物価上昇の2大原因である賃金と労働者需要の高騰は、見込まれている利上げを吸収することができるという。

もしFRBによる積極的な金融引き締めが原因で労働市場が低迷すれば、原油市場にも甚大な影響が波及するだろう。

原油価格の高騰は経済成長に打撃を与えるが、現在の米国のような雇用市場には必ずしも打撃を与えないかもしれない。しかし雇用の伸びが鈍化したり、最悪の場合、2年前のコロナ禍の時のように失業率が急上昇したりすれば、ほぼ間違いなく原油価格は下落する。というのも、FRBはOPEC+(世界的な産油国連合)の会合の前日にFOMC会合を開くからだ。OPEC+は世界への原油供給の安定性確保以上に、1バレル100ドル以上を維持することを重要な任務としている。

金利上昇は借入や投資のコストを上昇させるため、利上げはインフレに対処するためのFRBの常套手段である。企業が従業員を必要としないと判断すれば、現在の高い労働力への需要は落ち着く可能性がある。

FRBのパウエル議長は、今年の着実な一連の利上げは高騰するインフレ率を引き下げることができると主張している。2021年の米国経済とインフレはともに過去40年で最速のペースで拡大し、雇用の伸びは過去最高を記録した。最後の2つは、経済がすでに減速している中、堅調に成長を続けている。

FRBの計画は経済の需要サイドに対する取り組みだ。利上げだけでは、労働者の供給量を増やすことはできないし、コロナ禍に苦しむ人々の不安を和らげることもできない。働く親に保育を提供することも、移民政策を変えることも、早期退職者(約260万人と推定)を労働力として呼び戻すこともできないのである。

経済学者も、パンデミック後の世界の不確実性を考えると、FRBが利上げ計画を実行に移すのは極めて困難であると述べている。ロシアのウクライナ侵攻によって世界のエネルギー市場は混乱し、米国の家計におけるガソリン出費の負担増が予想されている。コロナ禍によって中国の主要製造拠点ではロックダウンが発生し、グローバルのサプライ・チェーンの停滞が再燃し、パンデミックの経済的脅威が続いていることを忘れてはならない。

インフレへの対処と労働市場の再調整という2つの目標を複雑にしているのは、FRBが企業の人員削減や新たな景気後退の引き金を引くことなく、使命を果たす必要があるからである。多くのエコノミストは、FRBが景気後退を招くことなく利上げに成功した1994年を引き合いに出して分析をしている。

歴史はしばしば違う結果をもたらしてきた。1961年以来、FRBはインフレに対抗するために9回の利上げを実施した。投資銀行であるPiper Sandlerの調査によると、そのうちの8回で景気後退を招いている。

米国のGDPは2022年の第1四半期に1.4%にまで縮小している。これは、2020年にGDPが3.5%減少し、米国が2008/09年以来の不況に陥ったコロナ禍から経済が立ち直り、2021年に5.7%の驚異的な上昇をみせた後のことであった。

元FRBエコノミストで現在はPiper Sandlerのグローバル政策責任者のRoberto Perli氏は、「パウエル議長は『今回は違うものになる』と発言している」と、ワシントン・ポスト紙に語っている。「もしかしたら、違う時代が来るかもしれない。しかし、それを安易に言及するのは常に危険なことだ。」

また、別の問題もある。

FRBが米国のインフレを抑制しようとしているように、OPEC+は原油価格が二度とコロナ禍の最悪期である2020年につけた安値とならないように注意している。FRBは原油価格を下げずにインフレ率を抑えることはできないだろう。賃金上昇と旺盛な労働需要はインフレ率の高騰の一因であり、FRBとバイデン政権は原油市場の下落を狙う。しかし、OPEC+も素直にこれに従うつもりはないだろう。こうした力学は念頭に置いておかなければならない。

いざとなれば、OPEC+は価格が現状から大きく下がらないよう、原油生産を減らすことができるだろう。そして、夏季の航空需要と米国に於けるドライブ需要を目前にして、原油を1バレル100ドル以下に抑えることは、140ドル近くあったウクライナ侵攻の高値を試すことを防ぐのと同じくらい難しいかもしれない。

しかしFRBやOPEC+よりも大きな存在となるのは、米国のGDPの70%を占める米国の消費者である。

コロナ禍による危機以来、仕事に復帰した何百万人もの米国人にとって、物価の下落は依然として最重要課題である。

ミシガン大学が先週金曜日に発表した最新の米国消費者信頼感指数によると、多くの米国人がFRBが計画している積極的な利上げから経済の軟着陸を実現するのは難しいと考えていることがわかった。

消費者が最悪の事態を恐れて可処分所得をできる限り削減すれば、経済成長率は単純に低下し、それに伴って原油価格を含むほとんどすべてのものが下落することになる。

ただ、それはすぐには起きないかもしれない。

原油:週次センチメント&WTIのテクニカル分析による見通し

先週金曜日の取引では、ロンドンで取引されている原油の世界的なベンチマークであるブレント原油は、1.18ドル(1.1%)下落し、1バレル106.08ドルで取引された。

先週1週間で、ブレント原油は2.5%、月次では1.3%の上昇となった。ブレント原油は12月以降で最も低い上昇率となったが、それでも過去5ヶ月間連騰となり、世界の原油指標の強気筋は55%の利益を獲得した。

ニューヨークでは、米国産原油の指標である米国産ウエスト・テキサス・インターミディエイト原油(WTI)は1バレルあたり1.25ドル(1.19%)下落し、104.11ドルで取引を終了した。

しかし、週次ではWTIは2%近く、月次では4.4%それぞれ上昇となった。ブレント原油と同様、WTIも11月末以降毎月上昇しており、過去5カ月で58%のプレミアムが蓄積されている。

木曜日にOPEC+の会合があるものの、投資家全体の関心は水曜日に行われるFRBの利上げ決定を控えたFOMC会合に集まっているため、週明け3日の原油価格は下落傾向になる可能性がある。

WTIのテクニカル・チャートも同様のことを示唆している。

Skcharting.comのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、Sunil Kumar Dixit氏は、「週足のストキャスティックと相対力指標が中立の横ばい圏に位置しており、乱高下が続きそうだ」と予想する。

WTIは、先週の101ドルから98ドルのサポート・エリアに再び試す可能性が非常に高く、そこで買い手が再浮上し、105ドルから108ドルのレジスタンスと流動性エリアを目指す強気の勢いを再開するかもしれないと、同氏は述べている。

「この105~108ドルのレジスタンス領域に十分な買い手がつけば、この勢いは109~113ドル、さらには116ドルまで上昇することが予想される」と話す。

金:週次市場動向 

インフレに対するヘッジとして世界でもてはやされている金は、米ドル市場が7年ぶりの急激な上昇に劣後し、再びその名声に応えることが困難であることが判明した。

金は、先週金曜日に1%上昇したにもかかわらず、4月は約2%下落し、1オンス1900ドルという比較的強気なレベルを上回ったにもかかわらず、2022年に入ってから月次リターンは2度目のマイナスとなった。

金の下落は、宿敵であるドルが、この10年間で最大の月間上昇率を記録したことによる。米ドルを他の主要6通貨と比較するドル・インデックスは、4月に4.6%以上急騰し、2015年1月以来の高水準となった。4月の20回の取引日のうち、ドル・インデックスは4回しか下落しておらず、ドルは資産クラスの中でも最も顕著な連勝の1つとなっています。

ドルの大幅な上昇は、FRBが過去40年間で最も速いペースで進む米国のインフレを抑制するため、2022年の残り期間(場合によっては2023年)に導入すると予想されている金利上昇体制を見越したものであった。

オンライン取引プラットフォームOANDAのアナリスト、Craig Erlam氏は、「ドルの上昇は容赦なく、金の足かせになっている」と指摘する。「もしそうでなければ、それは金にとって何を意味するのだろうか。」

金曜日をもって、4月の市場取引が終わり、ニューヨークのコメックスの6月限金先物は1896.90ドルで、この日5.60ドル(0.3%)上昇した。この日は5.60ドル(0.3%)上昇、1ヶ月では1.9%下落、年間では4.5%上昇している。

4月18日には、インフレ抑制のためのFRBの積極的な行動から米国が景気後退に陥るのではないかという懸念から、6月限の金は6週間ぶりの高値となる2,003ドルをつけたばかりであった。金は通常、経済的・政治的な不安に対するヘッジとして機能する。

しかし、FRBが相次いで講演を行ったことで、過去40年間で最も速いペースで高まっている物価上昇圧力に歯止めをかけようとするFRBから、経済がマイナスに転じるのではないと強調されたことで市場の一部の懸念が和らいだ。

経済のハード・ランディングに対する懸念は消えていないものの、楽観的な見方、特に英国の労働市場に対する見方が、一部の悲観論者を凌駕している。このため、利上げの主な受益者であるドルが上昇し、金やその他の安全資産に悪影響が及んでいる。

Erlam氏は、「1ヶ月以上ぶりに2,000ドルを突破して以来、金にとってはひどい2週間だった」と指摘する。「金は引き続き安全資産であり、インフレ・ヘッジとしての魅力があるため、たとえ、ドル高が続いたとしても、最近の下落率が続くとは思えない。とはいえ、「ドルが高値を更新し続けるなら、金の強気の地合いはあまり続かないだろう。」とも付け加えた。

木曜日の取引では、ドル・インデックスは25ヶ月ぶりの高値となる103.945を記録した。

米国債利回りは、しばしばドルと並走しているが、最近ドルの動きから切り離された後、過去3取引日のうち2取引日で上昇している。米国10年債の利回りは4月に24%近く上昇し、3月の29%近い上昇に続き2度目の超大幅上昇となった。

インフレ圧力は今年第1四半期も続いており、いわゆるPCE指数は3月までの1年間で6.6%伸びたが、1-3月期のGDPは-1.4%となっている。第2四半期もGDPが縮小すれば、自動的に米国は景気後退入りすることになる。

景気後退に陥ったのは、厳密には2四半期連続のマイナス成長と定義されるが、2020年のコロナ禍による影響が大きい。

ミシガン大学のチーフ・エコノミストであるRichard Curtain氏は、金曜日に発表された4月のミシガン大学消費者態度指数の世論調査で、「消費者の考えが転換点に達する確率は、強い労働市場と継続的な賃金上昇の見通しによって決まるだろう」と述べている。

労働市場は、最近の米国経済で最も明るい話題であり、雇用はわずか2年前に史上最低を記録した後、過去最高を記録している。

アメリカ人の失業率は2020年4月に14.8%と過去最高を記録し、コロナウイルス勃発の余波で約2000万人の雇用が失われた。しかし雇用はこの1年間、順調に推移しており、3月の失業率は3.6%まで低下した。米連邦準備制度理事会(FRB)は、失業率4.0%以下を「最大雇用」とみなしている。

金:テクニカル分析に見通し

skchartingのDixit氏は、金が今後1900ドル以下で推移する限り、主な指標としている金のスポット価格は、1875ドルまで下落する可能性があると話す。

「1870ドルを下回る動きが持続すれば、スポット金は50週指数移動平均の1850ドルと100週単純移動平均の1837ドルまで下がる可能性がある」という。「金が1837ドルを割り込むと、1818ドルがサポートとして維持される可能性が高い。」

しかし、週足のストキャスティックとRSIのレベルは弱気であったが、日足の売られすぎのパラメーターは、金の下降を抑える、あるいは、金の上値のつかみを助ける可能性がある。

同氏は、「主要トレンドがまだ上昇中なので、金への投資妙味から、機関投資家による需要が引き続き存在し、値上がりする可能性がある。トレンドが変わるとしたら、そのあとだろう。」と述べた。「安値からの反転で、金は最初のハードルとして1900~1935ドルをクリアし、次に1960ドル、2000ドルをクリアしなければならないだろう」。

免責事項:Barani Krishnanは、自身が執筆しているコモディティおよび証券のポジションを保有していない。

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